タウンぶらぶら歩き

 橋を渡って金城ふ頭に入ると、最初の信号交差点の右向こうのブロック全体がファニチャードーム名古屋本店です。港の立地を活かし、大変広い店舗が建てられています。写真をご覧下さい。
(駐車場から見た店舗。左手の方も駐車場ですが、2008年度来春には現在の店舗と同じ広さの店舗を増築されるそうです。)
 店内に入ってまず目にはいるのは、黄色いバッジを入れた箱です。
このバッジ、名前も「今日は見るだけ」。家具屋さんで、品定めにぶらぶら歩いていると、売り場ごとに担当の店員が寄ってきて、とまどうことがありますね。
ファニチャードームでは、「今日は見るだけ」バッジを付けていれば、話しかけられることは一切ありません。

 バッジを付けている人が店員を呼んで注文をすることが、意外に多いということです。
 店内は、いくつかのコーナーに分けられています。歩いていくと、突然違う国に来たかのように感じるほど、各コーナーはそれぞれの特徴をアピールしています。
 写真を見ていただいてわかるように、コーナーごとに、床もカーペットあり、フローリングあり、床の模様ももちろん雰囲気に合わせて変えてあります。
 こんな素敵なお店で、更にお客様の心を掴む工夫が多くあること驚きです。

 もともと、デパートに比べればお値打ちな商品が多いのですが、サービスはデパート以上を目指されているそうです。
 そのサービスたるや、「30のサービス」と呼ばれて徹底されているということですが、一部が店頭に「SERVICE PLUS HEART」というパンフレットの形で案内されています。このパンフレットを見ながらお話をお聞きしましたが、大変なサービスです。工具の貸し出し、ト ラックの貸し出しをはじめ、カーテン見本の10日間貸し出し、商品写真のプレゼント、さらには商談スペースには高級なソファを揃えるという様な気配りも充 実しています。

 特筆すべきは、配送時に傷が見つかった家具の交換から、部屋に合わないことがわかった、というような理由でも、返品・交換ができる点です。家具は、長年 にわたり、四六時中目にし、使うものなので、ちいさな不満も家具を使っている間ずっと不満が続くことは恐ろしいこと、と言われます。確かにその通りです ね。大したことのない簡便な家具でも、数年は使いますから、その間ずっと「あの店で買ったんだ..」と思われるよりは、「あの店で買ってよかった」と思い 続けてもらうほうが良いに決まっています。

「継続可能な」という言葉が、いろいろな分野で言われるようになってきましたが、まさに商品を通じて、お店の良いイメージを「継続」させるサービスです。
 ファニチャードームを経営する安井家具株式会社が、大須で事業を始められたいきさつに少しふれておきたいと思います。

 明治43年に、名古屋開府300年記念も兼ねて第10回関西府県連合共進会という博覧会が鶴舞公園で開催されました。この頃は、「博覧会」と称して、商 品見本市が全国で催されていたようです。現在でいう「コンベンション」のようなものでしょうが、東京に集中しがちな現在の展示会とは異なり、明治・大正の 頃は、全国各地で開催され、それが地域の活性化にずいぶん役立っていたようです。閑話休題。

 大須・上前津地区の歴史に戻りますが、この地区は、博覧会に関連する仕事を当てにして、各地から建具屋・指物屋が集まり、東海地方随一の家具屋街となっていきました。

(鶴舞公演の施設のうち、
第10回関西府県連合共進会を記念して建てられた噴水塔と奏楽堂。)
 初代(先々代)治三郎さんは、津島のタンス屋で奉公していましたが、仕事ぶりは職人の中でも群をぬき、のれん分けを待たずに名古屋駅近くでタンスの製造販売を初めました。
 1914年には、家具屋で賑わう裏門前町そばの矢場町に店舗を建て、これが「安井タンス店」の創業となりました。治三郎さんがタンスを作れば、奥様のふうさんが仕上げ、配達は治三郎さん自らという商売は評判を呼び、繁盛を極めたそうです。

 余談ですが、取材で名古屋の企業を訪れると、名古屋・愛知の歴史がかいま見えることも頻繁で、常盤会会員やその縁故に、地域に根ざした企業が多いことに関心します。
  さて、安井家具株式会社のこれからですが、現在、名古屋市内の家具小売業界の動きは、ご存じのように、名古屋の中心部に大規模な家具店が建ちつつありま す。東京や大阪では、かねてより、駐車場を備えて、お客様が自分で持ち帰る、というスタイルから、公営交通機関で、デパートにでも行くような感覚で家具店 を訪れ、購入した商品は配達してもらう、というスタイルになってきていました。
 一方、名古屋地区では、自動車の普及という地域性から、むしろ郊外に向かう傾向がありました。大須の中心部は、どちらかというと若者向けの電気街、ファッションを中心とした商店街に変わってきています。
 そんな環境のなかで、安井家具株式会社は、ファニチャードームをはじめとした、郊外・新興住宅地に的を絞り、家具だけではなく雑貨を含めたインテリア全般を扱う業態や、カーテン専門店、アウトレットなどの業態を、立地に合わせて展開しています。
 さらに、冒頭の写真でも触れたように、ファニチャードーム名古屋本店は、来年には大きく増床されます。今の店舗でも、一部の展示スペースはテーマを持っ たコーナーに分かれていますが、それを一層大規模にし、多彩なテーマのコーナーを展示できるようになるといいます。テーマパークのような家具店ですね。
 日本でも有数の大規模なお店となり、お客様の滞在時間も長くなるため、その時間を快適にするために、レストランも新しく増やされるそうです。リニューアルの開店が楽しみです。
 ここで、「ファニチャードームカタログ」についても触れておきます。
 このカタログは、70ページ以上あるオールカラーのカタログで、店頭に置いてあります。お店は、窓がありませんが、カタログの写真では、お店で展示され ているテーマやそれ以外のテーマに従った、窓のある部屋をイメージさせる写真が豊富に掲載されています。たとえばカーテンは、家具、壁、窓の全体的な雰囲 気を考慮して検討したいものですが、カタログ中では大変わかりやすくて助かります。カタログを手にしてお店を回るのも、ひとつの手かな、と思います。
(ファニチャードームカタログに掲載されている写真の例。)
 家具を購入するにあたり、「使えればなんでもいい」という考え方で選ぶとすれば、ディスカウントショップでカラーボックス、という選択肢もあります。
 しかし、自分の住みかで場所も時間も結構な割合を占めるモノですから、永の住みかにふさわしく飽きのこない家具を選ぼうとすると、選ぶ幅があり、かつ最も適した家具を選ぶことができる場を提供してくれるお店を訪れてみるのも一興です。

 どんな部屋に置くどんな家具でも、楽しく見つけることができる、ファニチャードームは、そんなお店のような気がします。
  今回の取材では、安井家具株式会社 販売企画部 次長 水谷様にお話を伺いました。水谷様、そしてファニチャードーム名古屋のスタッフの方々には、お忙し いなかをご対応頂きました。また、カタログの写真は、お申し出頂き、イメージデータをお借りすることができました。質の高い写真を掲載することができまし た。皆様には、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

文、写真:樺 亭

(カタログの写真は除きます)


ページトップへ
バックナンバー



ページトップへ