タウンぶらぶら歩き

一見コテージ風の建物。緑の屋根にれんがの壁と小さな煙突。正面のガラス張りのテラスの横が入り口です。店内の壁に飾られたキルトが目をひきます。
そして、お店の皆さんのおそろいの制服がとてもかわいらしくて素敵です。
もしかして、これは・・・・この謎解きは、後ほど。

「フレイバー」のお菓子はアメリカと、そして実は「南山」とも、しっかりとつながっているのです。

時と場所は違うものの、ともに高校生のころにアメリカ留学を経験され、それがその後のお二人の出会いのきっかけにもなったという「フレイバー」の岩田有司社長と奥さまの千江子さん(G25)にお話をお聞きしました。



お店
メインショップ:名東区よもぎ台2丁目611番
「フレイバー」の焼きたてのケーキとアメリカ直輸入茶が味わえるのは、栄のセントラルパーク店とここだけ。
岩田さんご夫妻
岩田有司社長と元ミス名古屋の千江子夫人(G25)
「ミス名古屋」は、当時から、容姿はもちろん、語学力と教養が重視されました。南山大学イスパニア語学科の2年生だった千江子さん、「英語とスペイン語ができたことが有利だったかも」と。
キルトの店内
キルトやカントリー風の木の置物が、自然の優しさとぬくもりを感じさせてくれる。
   
まず、「フレイバー」さんを立ち上げられたきっかけは・・・
   
  ・・・・高校2年生のときに、YFU(Youth For Understanding)でアメリカ、カリフォルニア州に一年間留学しました。そのとき、アメリカでは料理したりお菓子をつくったりすることが、女性に限らないって知ったんです。男性もするんだなと。とても新鮮に感じました。帰国後、料理をすることは、私の趣味になってしまったんです。東京で学生生活をしているときは、妹のために毎日食事をつくっていましたし、友達にアメリカのお菓子を焼いてあげたり。みんなすごく喜んでくれましたね。
   
それで、お菓子のお店を?
   
  ・・・・いえ、実家が一宮で繊維の会社を経営していますので、その会社に入社したのですが、会社の新規事業としてテニスクラブと、それに伴うレストランの経営を始め、そこで つくっていたお菓子の評判が良くてデパートでも販売するようになりました。その後、今から17年ほど前ですが、現在の「フレイバー」を会社としてスタートさせました。
   
ここで、岩田社長おすすめの焼きたての「ミジェットバナナ」を試食。・・・おいしい。
   
  ・・・・アメリカ留学のステイ先のお家で、おばあちゃんがつくってくれたバナナケーキがとてもおいしくて、レシピを教えてもらって帰ってきました。それが、この「ミジェットバナナ」の始まりなんです。焼きたてがいちばん、おいしい。
留学時代にホストマザーが焼いてくれたパイがとても懐かしいとおっしゃる千江子さん。「フレイバー」のお菓子とアメリカの結びつきは必然です。
   
続いて「パンプキンパイ」もいただきます。パイ生地は薄くしっとりして、かぼちゃの風味がコクのあるおいしさです。
   
  ・・・・かぼちゃは今がいちばんおいしい時期なんですよ。カフェのある、このよもぎ台のメインショップとセントラルパークのお店では、季節ごとの限定でいろいろな種類のパイやシフォンケーキを召し上がっていただけます。今日は予約で完売してしまいましたが、ピーチパイもおいしいですよ。
   
残念です。次回、是非いただきます。
   
  ・・・・アメリカのお菓子というと、「あまり、おいしくない・・・・」と思っている方が多いようで・・・(笑)本当のおいしさを、みなさんご存知じゃないのではないでしょうか?アメリカのお菓子のおいしさは、家庭料理のおいしさ、そのものなんです。つまり、けっして「つくりもの」じゃない食べ物。そこに本物の良さがあるんですよ。たとえばアップルパイなら新鮮な生のりんごを山盛りにパイ生地で包み込んで、じっくり焼くんです。あつあつのパイに冷たいアイスクリームを添えていただくのは最高ですよ。ただし、見た目はあんまり良くないですけどね。切り分ける時に中のくだものがあふれ出てきますから。(いえいえ、とろ〜りとしたくだもの、充分おいしそうに見えますよ。)
   
さて、「フレイバー」といえば、シフォンケーキ!と言われるほどですが、シフォンケーキはアメリカのお菓子なんでしょうか?
   
  ・・・・そうなんですよ。アメリカにもともとあった「エンジェルフードケーキ」というケーキを改良して、アメリカ人が「シフォンケーキ」と呼ばれるケーキをつくったんです。フランス語の「シフォン」には、「ぼろ布」とか「絹・シフォン織」といった意味があり、フランス人の友人に「シフォンケーキ」と言ったら、「雑巾ケーキ?」と怪訝な顔をされました(笑)
私がお店を始める時に、「このケーキを!」と決めて、「本物のシフォンケーキ」を今も焼いています。というのは、日本の料理の本にあるレシピで、ご家庭で焼かれるシフォンケーキは、まったく違うものだからなんです。お砂糖の量が違います。お砂糖はどうも「悪者」のイメージがありますが、ケーキをしっとり おいしくするには必要なものです。オイル類はまったく入れませんから、心配するほどカロリーが高いということもありません。
   
「フレイバーのシフォンケーキ」といえば、「紙の型」に入ったまま密閉包装されていますが、初めて見たときは衝撃的でした。それが「フレイバー」のイメージにもなっていますが。
   
  ・・・・新婚旅行でしたかアメリカへ行った時に、留学つながりでご縁のあった方で、紙コップの会社の役員をされている方に出会いました。その方から、「紙の型」でケーキを焼いてはどうか、というアイデアをもらったんです。そこから今のような紙型に入ったままのシフォンケーキを販売することができるようになりました。これは画期的でしたね。もちろん日本で初めてのことです。保存できて、全国へ配送可能。それに焼いたままですから、何より衛生的。型くずれや、縮みも防げます。



ミジェットバナナ
ミジェットバナナは「フレイバー」の起源となったミジェット型のバナナブレッド。素朴なお味です。
シフォンケーキ
おなじみ「フレイバー」の「シフォンケーキ」・・・ふわふわの食感と無脂肪の軽やかさは、毎日でも食べたい!
エンゼルフードケーキ
「シフォンケーキ」の元祖である「エンゼルフードケーキ」
卵黄が入らないので、生地は純白。



ピーチパイ
すぐ完売のピーチパイ。後日、予約して出直して試食。トロけ出るピーチとアイスクリームの調和が絶妙。メインショップの焼き上がりは12時頃。桃の季節の限定。今年はお盆明け位迄。10月からはアップルパイが販売されます。
パンプキンパイ
パンプキンパイのかぼちゃは今が旬。出始めがおいしいので、産地は6月の九州から12月の北海道まで、旬の素材を追求します。それでこそ、この甘さと滑らかさが生まれるのですね。納得です。
フレイバーティー
アメリカ直輸入のフレイバーティー各種。左はブラックベリーセイジ。右はアセロラチェリーグリーンティー。香り高くフルーティーながらグリーンティーの味をしっかり残して他では味わえない後味の良さ。ホットでもアイスでも。
   
奥さまとの出会いがあればこそですね。
   
  ・・・・本当に、いろいろな形で支えてもらっています。二人のアメリカ留学の体験が、アメリカのお菓子をつくりたいという思いになって、さらにアーミッシュとの出会いもありました。アーミッシュというのは、18世紀以降、アメリカ中西部に居住し、電気や自動車を用いず、独自の質素な生活様式を保持する人たちのことです。もう、20年近く前になりますが、まず、アーミッシュの家具に魅せられてしまったんですね。シンプルで飾らない、素朴な美しさに惹かれました。「飾らない」というのがアーミッシュのモットー。私自身のコンセプトに非常に近いと感じたのです。
   
なるほど。それで、お店の皆さんの制服はアーミッシュの服なんですね。
   
  ・・・・アーミッシュといえば、実はこんなことも。
あるとき、結婚式の引き出物にうちのケーキを使いたいと言われて、お話を伺ううちに、新郎はアーミッシュ!・・・ではなかったんですが、とてもアーミッシュに近い方だとわかったんです。是非お会いしたいと紹介していただいたら、なんと、その方は、今、長女がお世話になっている女子部の英語のトロイ・ミラー先生だったんですよ!(現在、長女の周子さんは南山高校女子部3年生です)

「長い間の思いが叶った!」という感じで、4年ほど前に先生のお世話で、アーミッシュの家庭にホームステイしてきました。先生のホームタウン(KALONA)はアーミッシュの人がとても多くて、先生のお家も祖父母の代までアーミッシュだったそうです。アーミッシュの生き方は、一見特別なようで、でもとても自然であたりまえのような暮らし方でしたね。
「南山」から、さらに深いアーミッシュの世界へつながった気がします。



アーミッシュ
アーミッシュとは、18世紀以降、ペンシルバニア州を中心にアメリカ中西部に居住し、電気や自動車など便利なものから距離を置き昔ながらの質素な独自の生活様式を守っている人々。今も皆、特徴的な衣装を着ている。歴史的には、ヨーロッパでカトリック教会から迫害にあったドイツ系のキリスト教宗教改革の急進派で、聖書のように生きようとする熱心なキリスト教徒。主に、農業を営む。
「フレイバー」さんの制服
素朴で飾らない真の豊かさを求める「フレイバー」は、制服、カタログ、パッケージもアーミッシュをヒントとしています。飲食する時に出される紙ナプキンにも、Amish Country FLAVORの文字が入っています。
グラノラ
「フレイバー」のホームメイドグラノラは、アーミッシュから教わったまさに本物の家庭の味。既製品とは別格のおいしさのシリアルです。メインショップのみでの販売。
飾らない美しさと温かさ、そんなお店の雰囲気とお菓子のおいしさの秘密は、アメリカとアーミッシュと、そして南山にも関係があったんですね。
次々と、テーブルに運ばれる焼きたてのケーキやパイを、自らの手で、切り分けサーブしてくださる岩田社長の様子からは、ケーキへの深い愛情が感じられ、まるでご自分のお子さんを愛おしむかのようです。傍で「ごめんなさいね。所作もアメリカンで・・」と、優しい笑顔を向ける千江子さん。いえいえ、男性、それも社長自らに取り分けていただくホームメイドケーキの味は格別です。おふたりの姿は、「フレイバー」の企業理念そのままの、飾らない温かいお人柄そのものです。
長女の周子さんに頼まれたピーチパイを「買って帰らなきゃ・・・」と千江子さん。(あいにく完売でしたが・・・)名古屋タカシマヤでの「赤毛のアン展」に出品するサンドイッチのグリーンピースが、まちがって自宅に届いてしまったので、「今日は早く帰って、自宅でサンドイッチに添えるサラダを試作しなくては・・・」と答える岩田社長。「家庭の味」の焼きたてのおいしさを追及してやまない「フレイバー」の原点は、「家庭の幸せ」にこそ在るのだと実感できた夏の午後でした。
名古屋タカシマヤ「赤毛のアン展」特設カフェにて(会期は7月28日で終了)



赤毛のアン展にて
「赤毛のアン」の物語に出てくる「フルーツケーキ」や「プディング」を料理研究家のテリー神川氏と、シフォンケーキの名店である「フレイバー」が再現しました。
ベーグルサンドイッチ
「赤毛のアン展」特別メニュー。スモークサーモンとチーズのベーグル・サンドイッチ。グリーンピースは小粒で、隠し味の紫キャベツの歯ごたえと香辛料が豆本来の美味しさを際立たせていました。
ニュームーンプディング
「赤毛のアン」の作者L.M.モンゴメリの日記に記されていたお菓子「ニュームーンプディング」は、レモン味の「ふわふわメレンゲプディング」「フレイバー」の定番にして欲しい程のおいしさ!絶品!
岩田有司社長&千江子さん、楽しいお話とおいしいケーキ・・・とても幸せな取材をさせていただき、ありがとうございました。

文&写真 阿部正子&塩野崎佳子
   
FLAVOR ホームページ http://www.flavor.co.jp/


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