「キリストの星」 – 南山常盤会

校長先生から届いた「母校のいま」

2020年12月16日

【ヨセフ・ブルーノ・ダシオン校長】

「キリストの星」

常盤会の皆様
「クリスマス、おめでとうございます」
12月にもなれば、クリスマス飾りで美しく装っている町の中や家々が見られ、寒い季節なのに、心が温かく感じられます。カトリック南山学園の関連施設にも、特に、いりなか周辺の小学校、男子部、女子部、学園講堂、ピオ館、そして、南山教会にも、馬小屋、クリスマスツリー、それに大きな星も飾られています。卒業生の皆さんには、在校中の母校のクリスマス風景は深く心に刻まれていると思います。クリスマス飾りの中でも一番目立つのが、馬小屋、ツリー、そして大きな星と、煌めくイルミネーションなのです。ご存じの方も多くいらっしゃると思いますが、あらためて、この大きな星にまつわる話をさせていただきます。
 
町の中の星の形は、人によってまちまちです。多くの人は、ダビデの六角の星を飾って、それをクリスマスの星として楽しんでいるようです。楽しむためにはそんなに問題ではありませんし、その光で夜道を歩く人を照らしてくれることに限ってはありがたいのですが、クリスマスのメッセージを伝えるための大切なシンボルとしては、正す必要があります。
 
クリスマスの星は「キリストの星」と言います。ダビデの星が六角であるのに対して、キリストの星の形は五角(ペンタゴン)になります。それは、十字架につけられたときに、キリストの体についた5つの傷跡を表しています。両手と両足の釘跡と、槍に貫かれた脇腹の傷跡です。
 
キリストの星と言われるもう一つの理由とは、その描き方です。描くときは最初から最後まで一つの流れで描くことができます。「最初の点」と「終わりの点」が同じところにつながっていることがポイントなのです。これは、聖書で言われる神の別名であり「アルファ」と「オメガ」(ヨハネ黙示録1章8節;21章6節;22章13節)を表しているのです。つまり、キリストは目に見えない神を表す存在となります。
 
さらに、キリストの星は、夜明け前に現れる金星または暁の星とも思われるのです。太陽に先立って新しい一日を知らせるこの星の特徴と言えば、自分の光を放つのではなく、これから昇ろうとする太陽の光を受けて輝くのです。イエス・キリストの誕生というのはこの世に神の光を輝かせるためなのです。ちなみに、キリストの星の飾り方も決まっています。人間が立っている形であり、上は一角、横二角、下も二角になります。その逆になりますと、キリスト教の世界では「悪魔の星」と呼ばれます。
 
キリストの星やクリスマスイルミネーションは、永遠の光であるキリストが私たち人類を神の道へと導いてくれることを思い起こさせてくれるのです。そのキリストの星の光に照らされる私たちも光となり、自分と周りの人を照らし、共に正しい方向へと進むように。
しかし、私たちの誤解と誤ったふるまいによって、キリストの星が悪魔の星になり、楽しいはずのクリスマスが、不安や恐れを招いてしまう祭り騒ぎになります。私たちは、どちらの星の光を放っているのでしょうか。
 
 コロナが猛威を振るっている今日この頃、お互いがキリストの星になれることの大切さを心がけ、すべての人のために励ましと労りの光を輝かせることです。2021年が穏やかな一年でありますように祈りつつ、みなさんとご家族のご健康、安寧と繁栄をお祈り致します。
 母校の全生徒、保護者と教職員が元気でいることの朗報を加えさせいただくと同時に、皆さんも母校のことを温かく見守ってくださいますよう、お願い申し上げます。
                                男子部・女子部校長 ヨセフ・ブルーノ・ダシオン

 

馬小屋(男子部) 撮影:ダシオン校長先生

南山学園講堂のキリストの星 撮影:ダシオン校長先生

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