2013/7 ギャラリー・タンザニアフィリア – Nanzan Tokiwakai Web
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タウンぶらぶら歩きTown BURABURA Walking

南山タウンに広告掲載されているお店や会社の訪問記

2013年7月20日

2013/7 ギャラリー・タンザニアフィリア

「タンザニア」・・アフリカ大陸の、真っ青な海と灼熱の太陽に彩られた、キリマンジャロと野生動物の草原を抱く国。憧れはあるものの、現実的にはまだまだ遠い夢の国と感じる人も多いかもしれません。

そんなタンザニアと日本の友好の懸け橋となって、タンザニアの魅力や文化を紹介する活動を続けている同窓生がいます。「駐日タンザニア大使館・中部地区文化交流名誉代表」の清水邦子さん(G20)です。今回の「タウンぶらぶら」では、清水さんが、2006年に、名古屋の東山通りで立ち上げた「ギャラリー・タンザニアフィリア」を訪問し、知られざるタンザニアのこと、清水さんの活動に寄せる想いについて伺いました。


「駐日タンザニア大使館・中部地区文化交流名誉代表」
「ギャラリー・タンザニアフィリア」代表の清水邦子さん(G20)


「ギャラリー・タンザニアフィリア」
名古屋市千種区東山通3-23 チャミー東山1F

タンザニアとの出会い

清水さんが、上智大学外国学部英語学科を卒業して、スワヒリ語を学ぶため、ケニアのスワヒリ語学校に留学した1979年は、インターネットはおろか、アフリカに対しての正しい認識すらない時代だったため、ご両親や周囲の心配も相当なものだったようですが、”異なる文化や言語を学びたい”という強い気持ちが、清水さんをアフリカ大陸に向かわせました。”わたし、怖いもの知らずの、無知だったのかも(笑)・・でも、留学中に一度東アフリカを訪れてくれた両親も、雄大な自然や素敵なロッジや人々の明るさ・優しさに接し、いいところだねって言ってくれる程になりました”


ケニア国内の自然公園内の山のロッジで & ケニアの赤道直下通過を記念して・・ご両親と。

“私がケニアに行ったときには、母は還暦くらいだったのね、考えてみると。きっと心配しただろうなと思うけれど、写真の笑顔を見て今は良かったなって気がしています・・by 邦子”

そういえば、こんなこともあったそうです。語学学校を卒業して、南アフリカまで大陸縦断の旅にでたとき、当時、政情不安だったウガンダに入って、一番避けていた国境に、夜、到着するというハプニングに・・。その時、大きな不安を取り除いてくれたのが、隣国ウガンダの平和維持のために出動していたタンザニア援護隊の穏やかで友好的な姿だったそうです。タンザニア兵士から水を分けてもらったというその時が、その後、清水さんをタンザニアへと導いていくことになる運命の扉を開けた瞬間だったのかもしれません。

その後、帰国した清水さんは、JICAなどで、国際交流の仕事をし、1992年には、東アフリカを理解するための趣味の交流会「ジャカランダ・クラブ」をたちあげ、スワヒリ語や料理のレクチャーを行って、東アフリカを多面的に伝える活動を続けます。そんな中で、東アフリカの一国であるタンザニアとの絆が大きく深まったのは、2005年の愛知万博「愛・地球博」。タンザニア大使から、タンザニア側のボランティア・サポートの依頼を受けた事に始まります。

「駐日タンザニア大使館・中部地区文化交流名誉代表」に・・

2004年8月、清水さんは、”万博で、東アフリカの国をサポートします”と、ケニア、ウガンダ、タンザニアの各国駐日大使館を挨拶訪問して回ったそうです。 ”訪問の記念に、当時、活動していた「ジャカランダ・クラブ」で編集発行した『アフリカのママの贈り物』という料理本を持参しましたが、タンザニア大使に差し上げると、「いい本だね。でもね、君、アフリカという国はないのだよ」と仰って(笑)・・ケニアにいた時には、一つ一つ違う国だとわかっていても、帰国後は、ついつい、アフリカという言い方のほうが伝わりやすいと、使うことに慣れてしまっていたのです。グワァって感じで、目からウロコでした。その時、この方、スゴイ!ダイレクトで正直。熱意があって誠実。人を動かす力を感じました”

そして10月に、一本の電話を受けることになります。それは、駐日タンザニア大使館からで、東京からわざわざ、名古屋の清水さんに大使が会いにいらっしゃるというものでした。その折のムタンゴ大使との出会いが、今の清水さんの活動の大きな原動力になっていると、当時を振り返って、次のように話してくださいました。

“私に会うため、東京から名古屋にいらしたムタンゴ大使は、お供もつけずに、たった一人で、新幹線の駅に降り立った。え?おひとりで?ビックリでした(笑)。以来、駐日大使の大任を満了後(2003年から2009年在任)、帰国された今でも、ムタンゴ大使と日本の友人達との交流が続いています”


2005年 大坂にて 駐日タンザニア大使館 E.E.E.ムタンゴ大使と。


2005年万博開催時 邦子さんの最愛の”応援団長”だったお母さま(能子さん)と大使。邦子さんご自宅のお庭にて。


2009年ムタンゴ大使ご帰国パーティで、大使館からの要請で、緒方貞子さんの通訳を務めた時の写真。

“当時、国際協力機構の理事長だった緒方さんが、ジュネーブで国連難民高等弁務官として勤務していらしたときに、タンザニアの国連大使としてジュネーブにいらしたムタンゴ大使と知り合われたと、大使から伺っています。緒方先生から、和英どちらでスピーチしましょうかと尋ねられ、先生のよろしいほうでとお伝えしましたが、ムタンゴ大使が主賓でいらしたので、緒方先生が英語で話されたのを和訳しました・・by 邦子”

「タンザニアフィリア」の活動とは?

万博で始まった両国の交流をより確かなものにするために創立した「ギャラリー・タンザニアフィリア」では、時には、タンザニア大使館と協働し、タンザニアとその文化のプロモーションに努めながら、タンザニアをモティーフにしたオリジナル商品を企画開発して、タンザニア生まれのモダンアート絵画「ティンガティンガ」やタンザニアグッズの展示・販売を行い、情報発信センターとしての役割も担っています。 ”会社組織にしたのも、タンザニアの製品を扱うことが、寄付だけの支援ではなく、充分、会社としてやっていけることを証明したかったのです。相互の対等な関係から始まり、互いに切磋琢磨し、win-winのビジネスを築きたいという希望は、少しずつ実現しているし、さらに良い形にしたいという方向は変わりません”

≪ティンガティンガ≫: 自然や動物をモティーフにしたタンザニアのポップアート。タンザニアフィリアが選んだ作家に直接依頼している。

「ティンガティンガ」作家のムパタ氏の絵画を、最初に日本に広めたきっかけはジャズ音楽家の渡辺貞夫氏でした。

「アフリカンフェア2013」タンザニア大使館ブースを訪れたナベサダさんと。


≪カンガ≫ 東アフリカで利用されるコットンの大判スカーフ大の一枚布。
衣類や風呂敷、赤ちゃんのおんぶ紐にも使われる。

「カンガ・セイイング」と呼ばれる文字が布に書かれており
愛の告白のメッセ‐ジを身にまとって求婚することもあるという。
赤色カンガのコトワザの意味は「自分に与えられた物に満足」
黄色カンガは「両親にとっての満足は子供にとっての祝福」の意味

ギャラリー内の「ティンガティンガ」をモティーフにしたTシャツ&カップ&プレート&日傘

清水さんのタンザニアをプロモートする活動は、ギャラリー内に留まりません。”どことタイアップすれば最善か、いろいろなケースを視野に入れながら、大使館始め、様々な団体との協働を念頭に活動しています。2013年の外務省「第5回アフリカ開発会議」では、JETRO主催の「アフリカン・フェア」への出展を要請されました。新たな商品開発も試みます。ギャラリーオリジナルのトートバッグには、画家のサインをいれ、正規の仕事のパートナーとして、互いの意見交換を繰り返して、完成度の高いものにしていく喜びがあります”

ティンガティンガ絵画の継承者のひとりでもあるアグネス(ムパタ氏の姪)とタンザニアフィリアのコラボで生まれた「アグネス・トート」バッグは、現地で企画開発した完成品が空輸で届きます。画家アグネスのサイン入り。成田空港と関空のJETRO「一村一品マーケット」とギャラリーのみでの販売です。


「タンザニアフィリア」のブランド ”philia” のロゴと、バオバブの木が刺しゅうされた2013年「タオル・ヌーボー」
タンザニアの特産品であるオーガニック・コットンの収穫したての糸を輸入し、今治の池内タオル(iktプロダクツ)が100%風力発電で制作している「風で織るタオル」。 赤ちゃんの口にいれてもOKという基準を満たし、3年以上の無農薬の畑でとれたオーガニックコットンのみを使用している。池内タオルの「タオルヌーボー」製作の提案に ”タンザニアだけが手を挙げてくれた”と池内社長。


カンガの ファッションショーも企画主催してさまざまな場所で開催している。
カンガの使い方も、結び方を変えたりターバンにしたり千差万別の楽しみ方がある。
JICA中部センターにて・・写真先頭の青いターバンが清水さん。


JICA中部で展示イベント中に「子供たちへの読み聞かせの会」におよばれして:
SKYPEでタンザニアKECECと結ぶ。
子供たちがPC前に押し寄せて、タンザニアは朝なんだと熱狂し話を聴いてくる。

タンザニアの魅力は・・

清水さんの感じるタンザニアの魅力って、どんなものなのでしょう?即答が跳ね返ってきました。”カーンと晴れているときは、カーンと晴れている空・・(笑)。 したたかさに、やや欠ける素朴で穏やかな国民性・・” でも、それって、つまり、清水さんご自身の魅力でもあると思うのですが・・(笑)。 タンザニアに魅せられた清水さんも、やはり、いつも変わることのない、飾らぬ自然体の人柄と、真っ直ぐに進むしなやかな生き方が魅力の人です。英語の通訳・翻訳の生業も続けながらの活動、きっと語られることのない辛苦もあるに違いありません。でも、そんな、こちらの気持ちを見抜くかのように、”そうそう、一番大切なことだけれど、ひとつ言い忘れていたのは、この活動というか運営など、全てを、私は楽しんでしているっていう事ね。だからこそ、ギャラリーにも、「タンザニアフィリア」(タンザニア愛)って名づけました。やはり、何にでも言えることですが、それが楽しいと思う人が、するのが一番ですね。レイ・ブラッドベリーの『たんぽぽのお酒』にも、そういうくだりがあったわ。そして、タンザニアという国の大きな歴史が動く雄大な転換点を、小さなところに立って感じられるのも、なんとも言えず、わくわくするところです”


サアーダニ国立公園をサファリ中の清水さん(左)・・ 「サファリ」はスワヒリ語で「旅」

“2012年には、キリマンジャロの麓のアル―シャに、日本とタンザニアの交流の拠点となる「キリマンジャロ環境文化交流センター」(KECEC:ケーセック)が完成し、地域の人々と交流しながら、植林などのボランティア活動を体験し、互いの文化を学びあう場所に育つ予定です。日本大使館もKECECを視察して、その取り組みに高い関心を寄せており、日本大使館主催の日本文化交流イベントも大使の発案で行われています”


「KECEC/ケーセック」(キリマンジャロ環境文化交流センター)


キリマンジャロの麓にある「KECEC/ケーセック」は、文化交流と滞在もできる「我が家」として、ぜひ訪れてリラックスしてほしい場所。  エディス仕込みの美味しい家庭料理もあります。

駐タンザニアの岡田大使(写真左端)より協力要請を受けて、実際にタンザニアのKECECを訪れて日本文化の交流会を開催した皆さま

「長旅を心配されるタンザニアへのフライトも、ドーハやドバイを経由して、成田、関空から、飛行時間は17時間弱の距離です。日本から米国ボストンくらいと思っていただければ、恐ろしい程、遠く・・ではないでしょう(笑)?たとえば、エミレーツ航空なら、名古屋駅から関空まで無料送迎バスが出ているので、荷物の心配もありません。エミレーツもカタールも深夜便なので、例えば、金曜に仕事をすませて搭乗すれば、ゆっくり寝て休めます。カタールで日付変更後のフライトを利用すれば、同日午後には、もう到着です。最も気にかかる治安にしても、54か国あるアフリカの中でも、トップクラスの安全度なんですよ。公用語の英語も通じます(笑)、食べ物も美味しいです(笑)。ぜひタンザニアにいらしてくださいね”

“「タンザニアフィリア」の活動を通じて、私自身も、とても育ててもらいました。たくさんの方たちと知り合い、力添えを戴き、歩いてこられたと思います。そのことへの感謝の気持ちが、新たな力になっています。これからも、ブレないように、自分をチェックしながら、全力投球して行きたい!” と仰る清水さんは、数々の「出会い」という、点と点を誠実に繋いでいきながら、両国を結ぶ架け橋という太い線を描いているのだと思います。その確かな足跡が、「遠くて遠い国」タンザニアを、少しずつ、「遠くて近い国」タンザニアに感じさせてくれているようです。

いつか、人類発祥のアフリカの大地に足をつけて、タンザニアの自然の恵みの中で、悠久の時を感じてみたいと夢見ながら、同期生を代表し、清水邦子さんの ”ブレない” 今後の活躍に、これからもエールの旗を振り続けたいと願っています。

by minami (G20)

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「タンザニア連合共和国」

首都:ドドマ(ダルエスサラームは商都)

人口:約4500万人(2013年)

面積:94.5万キロ平方メートル  (日本の約2.5倍)

言語:スワヒリ語(国語)、英語(公用語)

主要産業:キャッサバ・米・豆類・コーヒー・綿花

1961年に独立

2014年には「連合共和国」になって50周年

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「ギャラリー・タンザニアフィリア」

〒464-0807 名古屋市千種区東山通3-23 チャミー東山1F
TEL:052-782-0906
営業時間:12:00から17:00
不定休

営業時間については変更することがあります。ご来店前にお電話でご確認ください。

* 「タンザニアフィリア」の今後の活動&行事はこちらをご覧ください。

⇒サイト:タンザニアフィリア

「インターナショナル ブッフェ開催・第二弾」

会場:名古屋マリオット・アソシアホテル

コーヒーハウス「パーゴラ」

会期:7月28日から8月27日まで

この期間中、タンザニアのメニューが2品、提供されます。

もちろん「ティンガティンガ」などの展示も開催中です。

是非、この機会に、タンザニアの文化と料理をお楽しみください。

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