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2017年8月22日

メルマガ123号コラム/堀江陽平さん(S18)ニューヨークの老舗グルメ「PJ・クラークス」 

ニューヨークの老舗グルメ「PJ・クラークス」

ニューヨークは1614年にオランダから毛皮貿易の為に建てた植民地が始まりで町を作り、ゆえにその頃のニューヨークはニューアムステルダムと呼ばれていた。ニューヨークに名前が変わったのは、1600年の後半に入り、イギリス人が町を征服し、以来ニューヨークとなったのである。そんなことで、ニューヨークはアメリカでは古い町の一つ、そして今では世界の名だたる巨大人気都市となっている。

ニューヨークには1800年代の半ば頃から続いている老舗のレストラン、バー、カフェなどがあり、今でもニューヨーカー達の人気の店。そのうちの一つに「PJ・クラークス」というカフェバーがある。


PJ・クラークス

旅行雑誌などにも必ず載っている店で、何せ100数十年の老舗ゆえに、世界の有名俳優、歌手、運動選手などがしょっちゅう訪れている。あのフランク・シナトラがこよなく愛したというハンバーガーはこの店では定番の人気メニュー。


ハンバーガー

マンハッタンイースト3番街の55丁目にその店はある。レンガ造りのそれほど大きくない店で、入り口は狭く、入るとすぐ10数人が座れるバーカウンターがあり、その奥にテーブル席が30席ほどあろうか。人気店なので昼日中から結構混んでいる。カウンターのバーに座るのに立って待っている客も多い。バーカウンターの横にオイスター、貝などの海鮮物が氷の上に並べられ、店員がひっきりなしにナイフでその殻を剥いている。そう、いわゆるオイスターバーでもある。


店内

ニューヨークを訪ねると必ず立ち寄る店の一つで、オールドアメリカン、ニューイングランドの雰囲気、香りがする店。僕のお目当ては、ハンバーガーもさることながら、チェリーストンクラムという二枚貝。いわゆるホンビノス貝というハマグリの類。これらの貝類はイーストコーストで採れたもので、日本では、ハマグリのような二枚貝の生は余り口に出来ないのだが、ニューヨークの海鮮レストランには必ずある常識の食材。シェル付き生ガキのように、ケチャップベースのタレを付けて食べる。半ダース6ヶ、1ダース12ヶと言う具合に注文する。

いわゆるアペタイザーで、それを肴に酒を飲む。バーだから酒類はなんでもある。生ガキは日本でも食べられるが、そのクラムが目当てのもので、大皿に盛られて出て来る。ちょっとピンクかかった感じでみずみずしい。その身にレモンをギュッと絞ると、活きが良いので身が引き締まる。タバスコの効いたケチャップタレにつけて食べると、潮の香りが口中にひろがり、コリッとした身の感触はまさに至福。流行りの言葉の「マイウ?!」と叫びたいほど(笑)。この貝にはワインは合わないが、ウォッカソーダがぴたりとマッチする。1ダース12ヶくらいはペロッと食べられる。続いては、そのチェリーストンクラムで作ったニューイングランドクラムチャウダー、ジャガイモとクラムのいわゆるクリームスープ。濃厚なクリームベースで結構お腹に溜まる。そして〆のメインは定番のハンバーガーだ。僕が注文するのはオリジナルのクラシカルというバーガーで、分厚い肉にスライスしたオニオン、ピクルスが挟まれている。その高さはおおよそ10センチ以上あり、ナイフで切って食べなければとても一口では食べられない。肉の焼き方も聞かれるが、ちょっとレアの方が美味い。肉にナイフを入れると肉汁がジワリ、塩味も胡椒味もないシンプルなものなので、ケチャップとマスタードをタップリつけて、これぞアメリカの味。


チェリーストンクラム

店の壁には有名人の写真がところ狭しと飾られ、シナトラは勿論、ベーブルース、マリリンモンローとジョー・ディマジオ、はてはリンカーンの写真まで。でもその店が出来る20年ほど前に暗殺されているから、リンカーンは訪れてないだろうが(笑)。開業当時からのものであろうか、大きな古い掛け時計が片隅にあり、振り子がゆっくりと・・きっと100数十年の時を刻んで来たのであろう。