2026年3月15日
まずは忘れ物の話から。
ちょっとした旅行にはカートとハンドバッグが私の持ち物。
両方とも道中置き忘れては、いけない。カフェでもトイレでも。
しかし、誰しも、いえ、特に私は、うっかりすることがある。
カフェでランチを済ませ、バッグだけ持ってレジに向かったこともあった。
ハンカチならともかく、カートを忘れるなんて。
その時は、「そんな大きな荷物をどうやったら忘れるの?」という目で、知らない人にまでプッと噴き出されたりもしたけど、まだそれはましだった。
その後の先日の忘れ物には、我ながら本当に本当にぞっとすることに。
旅行帰りの駅のトイレでのこと、大勢並んでいる中、自分の番になり、ひとつ空いたので入ろうとしたら、何と水汚れ?便器前の床に水が溜まり、その周辺も足で踏んだような跡が。
単なる水のハズはないし、踏みたくない。カートを横に置き、バッグは扉に掛け、自分はその水を避け、何とか座った。
帰りもどうにかうまく水をよけ無事に外に出た。入れ替わりに入ろうとする人に「ちょっと汚れていたから気を付けてね」と声をかける余裕もあった。
そのまた後ろの人の、「隣が空きましたよ」の声を受け、次の人はそこに入った。
私はそのまま、並んでいる人の先頭まで進んだところで、ふと気づいた。
カートを引いているだけで、大事な大事なバッグを持っていないことに。
ハッとなり慌てて戻った。
幸い私のトイレは避けられ、誰も入らなかったので空いていた。ドアの内側を恐る恐る見た。
「あった~」
やれやれ心からほっとした。腕にバッグを掛け戻ったら「あらあらそれ?」と先頭の人に笑われた。私が何を忘れてあたふたしていたのか分かったらしい。
「汚れを避けて出るのに必死だったので」とつい言い訳をした。
続いて、忘れたかもの話にいきますね。
「あれ~、帽子どうしたんだろう。どこかに忘れたのかな~」
カフェで隣り合わせた席のご夫婦の会話が耳に入った。
お二人はむかいあわせの席で、お互い顔を見ながら話している。年齢は多分私くらいの世代かなあという雰囲気。
「いつまでかぶっていたのかな」とご主人は首を傾げている。
私は、奥様の頭の帽子のつばが二重になっているように感じたが、「まさか、そんなハズないわ、気づかないわけないし、そういうデザインかもしれない。だいたいが、向かい合ったご主人は彼女を見ながら話しているのだから目に入らないわけがない。
「奥様が二つかぶっていらっしゃるのでは?」なんて、横から余計な口出しをして、違っていたら目も当てられないしと、うじうじ思い悩んでいたが。
「どこでなくしたんだろう」とお困りの様子に、「ええい、ままよ」なるようになれと、覚悟を決めて言ってみた。
何と、本当に正解だったのです。
そうかもしれないと思いつつも、半信半疑だったから、正直、すごく驚いてしまった。
感謝してくださったけれど、全く不自然ではなく、二つかぶっていらしたのです。
一つはサンバイザーみたいな感じで、その上にご主人の野球帽のような形のを重ねても、つばが二重になっているデザインに思えてしまうところがおかしい。
何年生きていても、新たな楽しいエピソードに出会えるものですね。
プロフィール
1969年 南山大学英米科卒
著書に「落ちこぼれ主婦のおばあさんぶりっこ」など落ちこぼれ主婦シリーズ9冊がある