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2013年10月28日

vol. 84 淺井有巖庵宗司(淺井清司)(S23)「今なぜ戦国大名織田家の茶道が注目されるのか」

 昨年11月に南山大学同窓会創立60周年サブ企画といたしまして南山大茶会と私の
講演会が開催されました。皆様の中でお聞きいただいた方もおみえになると存じます。
大茶会では学内で活動する全ての茶道サークルが一堂に会して大学構内各所で茶会を
催し、多数の参加者でにぎわいました。まさに400年前、豊臣秀吉が催しました
「北野大茶の湯」を彷彿とさせる空前絶後のイベントでした。私も茶道部のOBと
いたしまして企画の段階からお手伝いさせていただき大きな感動を覚えました。

 さて、私の講演ですが、「戦国大名 織田家の茶道」というテーマでお話をさせて
いただきました。なぜこのテーマを選んだかと申しますと、私の先祖が織田信長、信雄
(のぶかつ)親子に二代にわたって仕えており、現在、織田信長とその弟織田長益の
子孫及び織田家の家臣の子孫とその賛同者によって結成されました一般社団法人有樂
茶道協会の専務理事を仰せつかっているからです。

 以前、南山大学同窓会報の「クローズアップ同窓生」という欄に「乱世を生き抜く
茶道」という文章を掲載させていただきました。いわゆる、おもてなしの心や礼儀
作法や年中行事を学ぶお稽古事としての茶道ではなく、閉塞感が充満する現代を乱世と
とらえまして、この乱世を生き抜く知恵と勇気と志を信長・長益の時代の茶道から
学ぼうというのが私の目指す茶道であると書かせていただきましたところ同窓生の
皆さんから大きな反響があり直接話を聞きたいとのお声がありました。

 講演会の後半は信長の時代に行われていた出陣の前に居並ぶ諸将に陣中でお茶差し
上げたという故事に倣いまして復活いたしました陣屋茶道―陣中茶の湯手前―を披露
いたしました。今から命のやり取りをする戦を前にして心を静めて一服のお茶を
飲むというまさに一世一代のお茶を再現いたしました。弓矢や鉄砲玉を避ける楯と
床几を使い懐に収めた盃にお茶を点てるという特殊な手前であります。私も陣中装束を
身につけ帯刀してお茶を点てさせていただきました。その他、戦国時代の敵味方入り
乱れての茶室において当然のように行われていました鬼舐めの作法(毒味)も復活・
再現いたしました。

 先ほども申し上げましたように織田家の茶道の特徴は単なる「お稽古事茶道」では
なく、根本に乱世を生き抜く処世観や人生観があるということです。信長といいますと
乱暴な性格のみが強調されますが弟の長益、後の有楽斎と共に茶道を国家運営統治の
基本理念として用いました。いわゆる「茶の湯御政道(ちゃのゆごせいどう)」、と
言われるもので当時の茶会はまさに現代における国家戦略会議に相当すると考えられ
ます。楽市楽座も今日の積極経済政策に相当するもので、茶道を盛んにすることに
よって茶道具の需要が増え国内生産を向上させようとする考えがあったようです。

 天下の覇権が信長、秀吉、家康と移り、世の体制が天下布武から元和偃武へと移り
ます。その過程で統治手段としての茶道が重要視されます。特に3人の天下人のもとで
重要な役割を担った有楽は特に家康から重用され、全国の大名に対し武将として
あるいは各藩の統治者としての大名の心構えを学ぶための茶道を指導することを
託されました。教えた場所がまさに現在の東京の有楽町なのです。その後、将軍の
茶道師範が変遷することにより石州流、遠州流などが武家茶道として各藩に広がって
いきましたが、家康が最も愛し、家康を最も尊敬した尾張徳川家藩祖徳川義直は有楽の
茶道を尾張藩の流儀と定めました。またニ代将軍秀忠も三代将軍家光も有楽が作った
大阪天満屋敷内の茶室如庵を訪れ、そこで茶を喫することにより家康の教えを肌で
感じたと言われております。まさに織田有楽の教えのすべてが茶室如庵に込められて
いるのです。皆様もぜひ如庵でお茶を飲まれることをお勧めします。そのことによって
信長や有楽や家康の真の心が理解できると存じます。

(プロフイール)
昭和27年名古屋に生まれる。昭和40年、南山中学・高等学校に入学。
在学中は生徒会議長、文化祭実行委員長、新聞部部長などを務める。
南山大学入学後は茶道部キャプテン、愛知学生茶道連盟議長を務める。
本年6月まで金城学院大学父母会会長、四日市西ロータリークラブ会長を務める。
現在、一般社団法人有樂茶道協会専務理事、日本感性教育学会理事、
四日市情報外語専門学校日本文化論講座講師。

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