2008/7 三品税理士事務所 – Nanzan Tokiwakai Web
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南山タウンに広告掲載されているお店や会社の訪問記

2008年7月24日

2008/7 三品税理士事務所

「三品先生、この自転車は・・・?」
「そう、この自転車は、わたしの社会人としてのスタートなんですよ!人生のスタートをいつでも感じていたいし、思い出もありますし、見るたびに身が引き締まります。」
事務所に入ると目に飛び込んでくる一台の自転車。

今回のぶらぶらは、地下鉄名城線と桜通線の交差する久屋大通駅近くに事務所を構える三品雅義税理士事務所の三品雅義さん(S21)をお訪ねいたしました。


開業祝いに贈られたこの自転車が、”初心”をいつまでも忘れさせない。


名古屋市中区丸の内3-20-20チサン丸の内第3ビル903号


常盤会理事会でもおなじみ。 前副会長 現経理部長

Q: 「三品さんは、オール南山とお聞きしましたが・・・」

「は い、ボクは、中・高・大・大学院(経営学研究科)と根っからの南山ボーイですね。税理士になったのは祖母が、「芸は身を助く」と、よく言っていたので、手 に職をつけようと、税理士の資格を取りました。卒業して、国税局に入り、その後、個人の会計事務所で修行して、85年に事務所を開設しました。それ以来、 ずっとこの自転車とともに走ってきたんですねぇ」

Q: 「三品さんといえば、本業も勿論のことながら、スポーツ、レジャー、車、絵画、ボランティア活動など、多方面でご活躍ですが・・・」

「い ろんなことに興味があります。出会いがあれば何にでも挑戦しますよ。変わったところでは、新美南吉の童話が好きなので「ごんぎつねの会」の会員にもなって います。南吉はいいですねぇ。ことに「おぢいさんのランプ」が気に入っています。ランプの需要が時代と共に減り、ランプ売りで身をたてていたおぢいさん が、木にランプを縛りつけて火を灯し、石を投げてランプを割ってしまう話です。人は”引き際の美学”が大切だと、この童話は教えてくれているような気がし ます」

Q: 「東海骨髄バンクのボランティアの理事もなさってますね?」

「私 と東海骨髄バンクとの出会いは、そう、縁というか、なんというか・・・不思議なものなんですよ。あれは、88年の夏、家族旅行で行ったニューカレドニアか ら帰国した時、万が一にと備えておいた2万円が、胸ポケットに残っていたんですよ。その時、中日新聞に掲載されていた「愛知のドナー募集」の記事に、自分 も何かしなきゃと思い、そのお金を「ドナー活動に使ってください。また私もドナー登録者になりますよ」という文面で、たまたま、本当にたまたまなんです が、 事務所の封筒で送ったんですね。この封筒が、一介のドナー登録者である私と骨髄バンクを、より大きな縁で結んでくれることになろうとは・・・

数日後、東海骨髄バンクの生みの親であり”マドンナ”でもある大谷貴子さんから 電話で、バンクに寄せられる寄付金の会計を見てもらえないだろうか?とお 手伝いの依頼がありました。勿論、快くひきうけることにしました。名古屋大学第一内科第三研究室を訪ねて、当時、母親からの骨髄を移植したばかりでもあっ た大谷さんとの対面を果たしました。クスリの副作用で、その時の大谷さんは、スキンヘッド・ムーンフェースでした。以来、20年間、理事のひとり、無償ボ ランティアとしてのお付き合いが続いています」

Q: 「ドナー登録して、実際ドナーにもなられたんですね?」

「は い。ボクが登録したのは、ボクと骨髄のタイプの会う人はどこかで親戚だと思うんですよ。そうすると僕はドナーになって人助けしようというよりも、何かのつ ながりがなければ一致するわけがないので、世代を超えた、何百年前かわからないけれど、自分の身内に対する呼びかけのような気がしたんですね。たぶん、僕 の先祖は、ひょっとして過去に皆さんにずいぶんお世話になったんじゃないか、助けられたんじゃないのかと・・・それが僕の中でトラウマになっていたりし て、何かのときに、今度はお前が助けてあげる番・人の役に立たなければという囁きがあったのかもしれませんね。

自分のタイプに合う患者さんが見つかり、実際にドナーになったのは92年 の秋でした。これは、全身麻酔で採取に1時間、覚めるまで4時間ほどかかりました。中村日赤へ入院して腰の骨から骨髄液(500ml〜1000ml)を抜いて、患者さんに点滴で輸血するんですよ。骨髄移植は手術はしないです。だから外科ではなく内科ですね。 でも、全麻ですから、手術着に着替えて手術室に入るとき、このまま戻って来られなかったら?という不安が一瞬よぎりましたが、麻酔は、ふたつカウントする前に効いて、目が覚めたら終わっていました。(笑)

民間主導であった東海骨髄バンクは、国の管理・運営する日本骨髄バンクに、その仕事を譲りました。また、ドナーの負担が全くなく、必要な時に、すぐ解凍して提供できる臍帯血移植の体制も、現在では整備されています。

骨髄バンクにドナー登録できるのは、18歳から54歳まで。現在、登録者は、当初の目標である30万人を超えましたが、まだまだ登録者は必要なんです。”継続は力”・・・これからも微力ながら地道にボランティア活動を続けていきますよ」


骨髄移植推進財団 日本骨髄バンク
http://www.jmdp.or.jp/

骨髄移植は、白血病や再生不良性貧血など血液難病の患者さんの骨髄の細胞を、健康な細胞と入れ替える治療法。骨髄移植には白血球の型のあった血液幹細胞のドナーが必要。ドナーは予め採血し型を調べデータ登録しておく。


ごんぎつねの会
http://www.fox-gon.com/gongrjp

新美南吉 童話集
http://www.fox-gon.com
代表作は「ごんぎつね」
「おぢいさんのランプ」
「手袋を買いに」など。

Q: 「では、本業の活動について教えてください」

「ボクのコンセプトは”闘う税理士”ですよ。国民が、気持ちよく納税の義務を全うできる環境を作りたい。公正かつ透明な税務行政のために、おかしいところは、おかしい!と言いたい。それをモチベーションに仕事をしています」

行政に挑む租税裁判で、異議申し立てを行い、最高裁では敗れたものの、名古屋地裁では勝訴し、”大金星!”と言わしめた経歴を持つ一方で、愛知県が主催するNPO法人の「会計および決算報告書作成の講座」「福祉の街づくりリーダー養成講座」の講師も務める。

Q: 「今後の夢は?」

「男 子部校舎の建て替えかな?(笑)常盤会は慈善団体ではないけれど、ボランティアのフィールドを持つ点での理念は同じ。12年間の南山教育で、カトリック精 神をすりこまれ、財産も何も持たず、無償の愛を実践する神父さまたちを身近に見て育ち、”人間の尊厳”が、DNAに組み込まれたのかも・・・」

“熱い情熱”をほとばせる反面で、寡作の画家・フェルメールの絵画7点が、上野の美術館に来るのが「とても楽しみ!」と喜ぶ”少年のような”表情も見せる三品さんのオフィスの壁には、たくさんの名画が飾られている。


カシニョ−ル
リトグラフ「会話」 井上慎介の最高傑作


油彩「幻想」 Tamiko Mishina


水彩「ヒマワリ」

名高い画家の作品に混ざって並んでいたのは、一枚のヒマワリの水彩画。Tamikoとサインされた文字に目をとめると、「母の描いた作品も発表してあげないと・・・」と目を細めた。”闘う男”の、すばらしく温かい人間性を垣間見た。

(文責、写真:成川保弘)

三品 雅義(S21) Profile

名古屋税理士共同組合 理事
東海骨髄バンク 理事
NPO法人 愛知骨髄バンクを支援する会 理事 ほか

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