やまだレディスクリニック – Nanzan Tokiwakai Web
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タウンぶらぶら歩きTown BURABURA Walking

南山タウンに広告掲載されているお店や会社の訪問記

2012年5月6日

やまだレディスクリニック

JR中央線、新守山駅から車を走らせること約5分。緑豊かな小幡緑地の近くに今回おじゃました産科・婦人科「やまだレディスクリニック」はあります。

駐車場も広く、35台分完備されており、名鉄小幡駅からも徒歩10分という好立地。公共交通機関を利用される方にとっても、お車でお越しの方にとってもとても便利な場所に位置しています。

「やまだレディスクリニック」2代目院長である山田英史さん(S37)にお話しを伺いました。

院長のお父様である大先生が、ここに産婦人科病院を開業されたのは43年前。地域に根ざした医療を引き継ぐべく、10年前のリニューアルと同時に、当時愛知医大で講師をされていた英史さんが院長として戻っていらっしゃいました。今では大先生と院長、そして院長の大学の後輩だった奥様、蓄子先生も産婦人科医としてクリニックを守っていらっしゃいます。

クリニックの入口扉を入ると、靴をスリッパに履き替えて、さらにガラス扉を開けて中に入ります。すぐに受付の方が明るく温かい笑顔で迎えてくださいました。

受付の様子

10周年のお祝いに贈られたたくさんの花

『安全』で『温かく』『優しく』をモットーとしているこちらのクリニック。院内のあらゆるところにその心遣いが感じられます。

太陽の光が降り注ぐ明るい待合室。温かみのある色合いのソファーがさらに居心地の良さを演出

10周年記念風船

待合室のそばには子ども達が楽しく過ごせるようにと作られた遊びのスペース

 

診察室で院長にお話を伺いながら、つい目に入ってしまうのが、たくさんの「ドラえもん」や「仮面ライダー」たち。フィギュアやストラップだけでなく、ぬいぐるみの枕やバスタオルの柄もドラえもん。院長のご趣味かとおもいきや、それらのほとんどは患者さんやスタッフからのプレゼントだそう。院長がいかに患者さんたちから慕われ、愛されているかが伝わってきます。お母さんと一緒にやってくる子供たちが怖がらないように、という配慮でもあるようです。誰もがリラックスしてお話を聞いてもらえそうな、そんな診察室です。

看護師さんのお話では青の診察着を着ていらっしゃる院長は患者さんや子どもたちに『ドラえもん先生』と呼ばれることも多いそうです。

産婦人科医になられたきっかけ

「高校3年生まで数学の先生になろうと思っていたんです。僕は数学が大好きで、正直、数学の成績は飛びぬけて良かった。他の科目は…南山だから英語はいいかな。ところが、愛知医大の推薦入試が受けられることになったことと祖母が亡くなったことがきっかけとなって、人の生命や医学の道を考えるようになり、医学部への進学を決めました」

医学部には進んだものの、当時は産婦人科医になる気は全くなかったとか。しかし、様々な診療科がある中で、産婦人科にしかない魅力があるとのこと。それは、病気や怪我ではない健康な人が来る科ということです。

「新たな生命が生まれてくる幸せを感じられる科は他にありません。他の科では、病気の患者さんと向き合い、患者さんの死に立ち会うケースも多くあります。しかし、ここではほとんどの患者さんは正常分娩で、生まれてくる赤ちゃんと共に元気に、そして笑顔で退院していってくれる。こんな幸せなことはないですね」

産婦人科医をされているからこその喜びと共に、その大変さもお話し下さいました。

「産婦人科は救急的な科。特に開業医は四六時中で休みもなく、自分の生活は全くないといっていいほど忙しい。生活も不規則なので、この病院で院長を始めた10年前と比べると20キロも体重が増えました。産婦人科は医療訴訟が一番多い科とも言われていますからストレスも大きい。きっと僕は早死にするんじゃないかな(笑)」

「でも、僕は本当に環境に恵まれていると思います。僕の父の大先生は78歳になった今でも一緒にオペをしています。元気で長生きをしてくれて、助かっています。また、大学時代の恩師が週1回外来を担当して下さる。恩師の存在は心強いです。それに、産婦人科に行くなら女医さんがいいという方も多いので奥さん(蓄子先生)が週1回外来をしてくれるのもありがたい。また、スタッフにもとても助けられています。ここのスタッフは本当によく頑張ってくれる素晴らしい人たちばかりです」

スタッフのうち、なんとお二人がこのクリニックで生まれた方なのだそう。自分が生まれた病院で働けるなんて素敵なことが本当にあるのですね。

産婦人科という職業の大変さを感じられながらも常に周囲への感謝の気持ちを忘れずに、そしてその気持ちを言葉にも表わされており、このクリニックの雰囲気の良さはこうした院長の人柄とスタッフの方々の温かさがあるからこそなのだと感じました。

診察台と4D超音波診断装置

4D(3Dの動画)の様子

映像は保存してご家庭に

持ち帰ることもできます。

院長が病院内を案内してくださいました。そこには、患者さんの立場に立って考えられた様々なアイディアや心配りがたくさん施されていました。

☆分娩室の様子☆

できるだけリラックスした状態でお産ができるようにと天井には星が輝き、流れ星まで表現されていました。この星空の装置は院長のアイディア。業者さんが一個一個光ファイバーを取り付けてくれた特注品だそうです。

室内に入ると天井いっぱいの星空に釘付けになります。

また、その下にあるTV画面には環境映像が。

穏やかな音楽と共に海を泳ぐイルカの映像が映し出されていました。

アロマオイルも何種類か準備されており、

患者さんの状態に合わせた効力のアロマが焚かれます。

分娩室の横には出産用の和室があります。こちらにも天井には星が。

患者さんが一番楽な状態でお産をすること(アクティブ・バース)が大切、という考え方。

一般の分娩台ではしっくりこない方にはこちらで出産もできるそうです。

☆お部屋の様子☆

全個室にトイレやシャワー、テレビや冷蔵庫、加湿器が完備されており、ソファーベッドもあることから、付添の方も安心して宿泊できます。

また、個室ごとに色調が違い、それぞれに特徴のある明るい、落ち着いた雰囲気が感じられます。病室というよりは、自分のお部屋のようです。

特別室にはミニキッチンも付いており、

付き添いの方用のベッドも完備されています。

個室はどの部屋も付き添いの方が一緒に泊れるようになっており、赤ちゃんのためのベッドが用意されています。ただし、母子同室かどうかは患者さんの希望を聞いてくれるとのこと。先生のお考えとしては、経産婦さんは入院している間くらいはと母子別室でゆっくりとしてもらい、初産の方は新しく経験することが多いため同室がオススメだそうです。

布おむつの良さ

「当院では、布おむつを使用していますし、勧めてもいます。もちろん、紙おむつは便利ですし、すごく吸収性が良くて気持ち良い。しかし、だからこそ赤ちゃんも親もおむつがぬれていることになかなか気付かないんです。その点、布おむつは濡れると気持ちのいいものではないから赤ちゃんがすぐに自覚します。赤ちゃんはそれを泣いてアピールすることでお母さんに伝え、お母さんはそれを素早くキャッチし取り替える。それが一つのコミュニケーションとなるとともに、その繰り返しがお母さんと赤ちゃんとの信頼関係を築いていくのだと思います」

 

「でも自分の子どもは紙おむつを使っています(笑)。勝手なこと言ってますね(笑)。つまり『絶対に布おむつ』というわけではなくて、自分たちの生活スタイルに一番合った方法をとればいいと思うのです」

昔から良いとされていることには、ちゃんとその理由がある。と院長はおっしゃいます。例えば母乳。粉ミルクも成分的にとても良いものが出てきているものの、母乳に勝るものはないそうです。栄養面だけでなく、他にもいろいろな意味合いがあるとのこと。赤ちゃんとお母さんの親密性・密接感をはぐくむためにも、母乳をあげることはとても大切なことだと教えて頂きました。

エレベーターの床にはクリニックの象徴が。

お母さんに抱かれている赤ちゃんを表現。

まるで微笑み合っているかのようです。

退院前には夫婦そろってのディナーを用意して頂けます。

これから育児がスタートする二人を

応援してくれるかのような…ひと時。

常に大切にしていること

「お産はどの時代においても大変だけれど、素晴らしいものです。今ではディナーやエステがついたりもしますけど、『何よりも一番大切なのはお産』。そのことを忘れずに、その瞬間をみんなでサポートしていきたい。お産の一つ一つを大切にし、患者さんと良い関係をもち、良いお産をしたという感覚をみんなで感じたいですね。当院の方針は、患者さんを一人ぼっちにさせないということ。そのことに関しては、ありがたいことにスタッフたちが本当に頑張ってくれています」

『つながり』・『縁』を大切にしたいという考えから、開院記念パーティーやクリスマス会を催されているとうかがいました。出産後、家に閉じこもって出かけるのが億劫になってしまう人も少なくはないそうです。お母さん同士の『横のつながり』からママ友もつくれますし、こうした集まりがあると多くのお母さんの助けになっていると思います。

また、二世代、三世代と次の世代へのつながりも、やまだレディスクリニックの43年の中で生まれています。つまり、ここで生まれた赤ちゃんが大きくなって、またここで出産される、というケース。出産を通して、世代を越えた人間関係が出来上がる、その素晴らしさも院長の誇りのひとつに違いありません。

院長のお話を聞いていると、赤ちゃんとお母さんのことを本当に親身になって考えてくれていることが分かります。そしてお産とは、お産自体ももちろん大切で大変であり、たくさんのサポートを必要とするけれど、それと同じようにお産に向けた精神的サポートやその後のサポートがとても大切だということを感じました。

少子化について

「少子化と世間では言われているけれど、実際は昔よりも産まないことを選択する人が増えていたり、結婚しない人が増えているからこその結果だと思います。出産する人はこのクリニックでも2人、3人と産んでいる人がほとんどです。ここ最近の少子化現象はただ単純に平均すると1コンマ…ということになっているだけにすぎません。それに加え晩婚化が進み、いざ出産したいと思った時には不妊症に悩まされたり、高齢出産によりリスクが増えるなど、それらのことも少子化につながっているのだと思います。昔は成人病や子宮内膜症といった病気もほとんどありませんでした。女性は妊娠することで子宮内膜症にならなくなったり、たとえなっていても妊娠することで治ったりもします。若い人の乳がんや子宮頚癌が増えているのも同様のことが言えるはずです。ホルモンに関係する病気はお産をすることでプラスに向かうことが多いと言われていますから。だからこそ、出産年齢が昔よりも上がった現代においてこうした女性特有の病気や出産に関する悩みが増えてきているのだと思います。女性の社会進出により、仕事を楽しく頑張っている人が増えたのは良いことだけれど、出産にも適齢期があります。それは知っていて欲しいことです」

また、「女性のトータル・ヘルスケアを手助けしていきたい」という院長のお言葉があります。やまだレディスクリニックは女性に関する全てのことを手助けしていきたいという気持ちを持って取り組まれておられます。お産に関してはもちろんのこと、不妊治療、更年期障害やがん検診など女性の悩みは全て受け入れてくださるとのことです。

その中で、がん検診は定期的に受けて欲しいと強くおっしゃっていました。院長自身、癌の研究を専門とされており、検診を受けることで治る癌もたくさんあるにもかかわらず、 検診を受ける方が少ないことをとても心配されていました。周囲の方々にもぜひ呼びかけ、定期的な検診を受けて欲しいと…。

新しい生命との『つながり』のためにも、今 『縁』があって『つながり』のある全ての人とのこれからのためにも、定期的な検診はとても大切なのだと痛感しました。自分自身はもちろんのこと、家族や友達とも互いに声を掛け合い、行動に移していきたいと思います。

男子部での思い出

「今、どの時代かに戻れるんだったら南山の時代に戻りたい。南山は良い意味でおぼっちゃん学校でしたから、和気あいあいとしていました。陰気ないじめなどもなかった。僕たちの頃は先生に注意される時に殴られたりしたこともありますけど、後腐れは全くありませんでしたよ。良い関係ができていたから。現に今でも先生たちと交流がありますし、本当に自慢のできる学校です。優しい気持ちをもって人と接することを、僕は南山で学んだと思っています」

南山中学の入試を決められたのもご自身で、自分の選択は間違っていなかったとおっしゃいます。先生方も同級生も人間的にとても素晴らしかったから、というのがその理由だそうです。今はなくなってしまった制服も、皆は嫌がっていたかもしれないけれど、院長にとっては 「南山生」であることがわかるから、嫌じゃなかったとか。甥っ子2人も男子部から医学部へ進まれたことが嬉しく、我が子も大きくなったら南山に入ってくれるといいなと笑顔で話してくださいました

最後に…

院長やスタッフの方々のお産に対する想いを知り、温かいサポートを受けることで、どれだけ妊婦さんの気持ちが和らぎ、勇気づけられていることかということが分かりました。これほどまでに恵まれた病院でお産ができることは、も羨ましいほどです。そして出産後もまた、たくさんの人との『つながり』をサポートしてくださるクリニックの存在を頼もしく感じました。

(取材:阿部・山田・吉田)

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