オーエヌトランス – Nanzan Tokiwakai Web
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タウンぶらぶら歩きTown BURABURA Walking

南山タウンに広告掲載されているお店や会社の訪問記

2011年4月13日

オーエヌトランス

熱田は伝馬町交差点から南へ車で15分ほど、港区船見町の交差点を右折するころには、道路を行き来する車の大半は大型トラック。さらに道なりに進み、もうすぐ海では?・・・という場所にあるのが、今回ご紹介する「株式会社オーエヌトランス」。とにかく広い敷地でした。

「株式会社オーエヌトランス」は、JX日鉱日石エネルギー株式会社(ENEOSとJOMOが合併した会社)の、石油製品の輸送を主とする会社です。この附近には、大手石油会社の油槽所がいくつかあり、JX日鉱日石エネルギーの名古屋油槽所もあることを後でうかがい、納得でした。タンクローリーの置き場所の都合だけではなさそうです。
取り扱うのは、大きく分けて燃料油(ガソリン・灯油など)と潤滑油。燃料油は、タンクローリーで運び、潤滑油はドラム缶などに入っているので、トラックで運びます。24時間体制で行われる業務です。私たちの日常生活や産業のエネルギーを、確実にしかも安全に輸送することが求められます。「自分を守れ!家族を守れ!社会を守れ!」が会社の合言葉。どのような安全管理体制のもとでガソリンなどの輸送がおこなわれているのでしょうか。

取締役社長の杉江豊文さん(S21)、常務取締役の杉江竜太さん(S48)にお話をうかがいました。

「ガソリン・灯油などの燃料油は、知多の製油所から、常に出荷されています」。それから、必要に応じて愛知・岐阜・三重の各ガソリンスタンドに運ばれるのだそうです。ほぼ一年中、24時間。だから、会社も24時間営業。「当然ですが、一晩中、会社の電気がついているわけです」。

「燃料油はイコール『危険物』。その取り扱いには万全の配慮が要求されますから、ガソリンスタンドでガソリンを『荷おろし』する際、以前はスタンドの管理者の立会いが必要でした。でも消防法が変わり、今はドライバーひとりで行うことが許可されています。それができるのは、タンクローリーに装備された『ハイテク』のおかげ」。

「エア式底弁によるハイテク機器により、安全、かつ確実に荷おろしができるのです。ガソリンの出口はガソリンの注入口にしか作動しない。同じ種類でないとハッチが開かないようになっています。まちがって灯油にガソリンが混ざってしまうとたいへん危険で火災をおこすことも。しかし、このハイテク機器によって、その危険がなくなりました。だからドライバー単独の操作ができ、24時間をフルに活用できる。ここ10年の変化です。安全性がめざましく高まりました。町中を走っているタンクローリーは『ハイテクローリー』。ただの筒型の容器ではないんですよ(笑)」。

大型牽引タイプのタンクローリーは、「トラクター」と呼ばれるドライバーの運転席のある部分と、タンクを積んだ後ろの部分との2つに分かれ、トラクターは約8年、タンクの部分は約16年の使用が可能だそうです。「ガソリンという危険物の輸送という点で、他種類の運送以上に車両の整備には万全を期しています」。 会社にお邪魔した午後2時ごろは、ほとんどのトラックが出た後でしたが、この「後ろのタンク」部分だけが残っているものを見ることができました。

駐車場に設置してある「トラック用の洗車機」も、さすがに大きいですね。

社会的責任が非常に大きいことを考えると、車両の整備と同様、あるいはそれ以上に求められるのがドライバーや人材の資質の育成とレベルアップでしょう。ドライバー・職員全員が危険物取扱者免状を取得しているそうです。このほかにドライバーは大型一種、牽引免許といった資格が必要ですが、さらにハイテクローリー操作の研修も必須。しっかりした研修制度が「危険物輸送のスペシャリスト」としての自信と責任感を支えます。

「この仕事は、責任が重いし、労働時間も決して短くはありません。でも、やりがいはありますね。ドライバーの定着率は良いですよ」。 会社の方針として提唱されている「安全作業10ヶ条」には、「1、明るく元気にあいさつする」で始まり、良いマナーや健康管理など、安全性を高めるための具体的な行動例が細かく示されています。日常の小さな、しかし大切なことをコツコツと守ることが、社会全体の大きな「安全」につながるのですね。

Gマーク
安全性の高い事業者であるという「Gマーク」の認定を受けています。

グリーン経営
エコドライブなど、環境問題に取り組む経営方針に対する認証です。

「潤滑油の輸送の要は、駐車場を越えて、通りの向こう側の敷地にある、中継シャトル基地。”荷さばき場″と呼ばれています。夕方6時ごろになると、ここへドラム缶や一斗缶を積んだトラックが続々と入ってきます。潤滑油が運び込まれるんです。それから、いろいろなお客様の注文に応じて仕分けが行われます。野菜でいうなら、中央卸売り市場のような所ですね」。
潤滑油は工場の機械だけでなく、例えばエレベーターといった身近な機器にも必要。あらゆる機械が動くかぎり潤滑油は欠かせないものと言えます。また、潤滑油は非常に多くの種類があり、約4000種にものぼるそうです。通常扱うのは一日に数百種類だそうですが、細かい数量や種類の仕分けを正確に安全に行わなければなりません。

今年、「株式会社オーエヌトランス」」は、法人設立60周年を迎えられましたが、その前身「大西組」は創業が大正2年。98年という長い歴史です。吉村昭氏の小説『零式戦闘機』のなかに、昭和の初期、、「大西組」を筆頭とする地元の業者が「牛車」を使って、港区大江の三菱重工業で作られたゼロ戦を岐阜の各務原まで運んだという記述があるそうです。「馬は神経質なので音に驚いたりしますが、牛は黙々と進みます。ゼロ戦のような精密機械を安全に運ぶためには、牛車が適していたのですね」。
「時代が変わり運ぶものは変わっても、いかに安全確実に輸送するかという基本は変わりません」 と、杉江社長はおっしゃいます。

杉江社長(S21)は男子部、南山大学をご卒業ですが、夫人の多加子さん(G17)も女子部、南山短大のご出身。お二人は一学年ちがいで小学校も同じ。子どものころから家族ぐるみのおつきあいで、まるで兄妹のように仲良く、「結婚して子どもが生まれたら、もちろん南山に入れよう」と話されていたそうです。
「南山に進学するんだ、と自然に思っていました」と、長男の竜太さん(S48)。今でも何かと集まることが多いという、竜太さんの男子部同期生。男子部の先輩として、杉江社長がその輪に加わることもあるそうです。「港区は南山出身が結構多いのでは・・・」と、南山の人脈を楽しそうに話してくださいました。

以上の取材は、2月の中旬に行いました。その後、3月11日に東日本大震災という大変な災害が発生しました。
その直後、被災地の人々の生活が深刻な状況となる中、「何よりまず欲しいのはガソリン・灯油」と訴える声が多く、「物流」・「燃料」が社会生活の重要な基盤となっていることを痛感させられました。
地震から一週間後、名古屋からタンクローリーとドライバーが被災地に向かい数ヶ月間にわたり救援活動の予定、という報道がありました。オーエヌトランス様は、「秋田にドライバー5名・管理者1名の従業員を派遣しています。本当にひどい被災地には入ってないのですが、それでも民家が壊れていたり、道路は陥没していたりと、ひどい状況だそうです。しかし、被災された方々の痛みを考えれば、我々が少しでも皆さまの助けになればと思い、配送を続けております」。
被災地にダイレクトに届く大きな支援をされているドライバーの皆さんへ、感謝と激励のエールを送りたいと思います。

(取材:阿部、樺/撮影:樺)

(一部の写真は、「株式会社オーエヌトランス」」様ホームページよりお借りしました)

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