2006/8 コンクニ – Nanzan Tokiwakai Web
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タウンぶらぶら歩きTown BURABURA Walking

南山タウンに広告掲載されているお店や会社の訪問記

2006年8月24日

2006/8 コンクニ

高辻交差点の南西にあたる、路地を入っていったところに、株式会社コンクニはあります。このあたりは、南側に宗教団体の集会所があり、周囲は工場が建ち並んでいます。人や車が工場の敷地の中に入ってしまう昼間は、高辻の喧噪とはうって変わった静けさです。
こんな奥まったところで、自動車の販売が成り立つのかと思っていたら、いかにも名古屋企業らしい理由がありました。

株式会社コンクニは、近藤国松製作所として、近藤国松氏が大正13年に設立しました。当初は、自転車や自転車の部品の小売店チェーンでした。当時、自転車 関連の価格は、商品から修理代金に至るまで、価格の表示がなく、その都度適当に決められていたそうです。そんな中で、定価表示販売を開始し、随分ご苦労さ れたようです。今の時代では考えにくい商習慣があったのですね。

その後、戦争が始まるとともに統制経済となり、自転車の商売はできなくなりました。戦後、豊田通商から、自転車に取り付けるエンジンの取り扱いを依頼さ れ、愛知トヨモーターを設立して販売にあたったといいます。自転車にエンジンを取り付けるだけでは、乗り心地が悪いので、フロントフォークにバネを付けた り、クッション付きのサドルを勧めたりして、好評だったようです。


(写真は、本文とは関係ありません)

次に、本格的なオートバイの時代となりました。取り扱っていたエンジンメーカーのトヨモータースが、完成車競争に乗り遅れ、事業を撤退したため、別の完成 車メーカーのオートバイ販売と、ダイハツのミゼットの販売を始め、いよいよ四輪車(三輪車です、正確には。)の時代になります。その頃に、社名を現在の 「コンクニ」に改めています。
株式会社コンクニの歴史は、我が国自動車普及の歴史を見ているようで、大変に興味深いものですね。

さて、株式会社コンクニでは、現近藤社長の代で、近藤社長がしばらくヤナセでベンツの営業として実績をあげたこともあり、正規代理店としてのベンツを中心とした外車、併せて並行輸入による外車、および国産社の販売・メンテナンスを行っています。

正規代理店としての取り扱い車種は、他の販売店と変わりません。特徴があるのは、並行輸入車の取り扱いだそうです。並行輸入というと、少し前の悪い印象がつきまといますが、近藤社長のお話を伺っていて、考えさせられるものがありました。
正規代理店の取り扱い車種は、日本で受け入れられやすい(運輸通産省の排ガス審査などに、ということで、ユーザーに、ということではないようです)仕様 になっています。現地では、メーカーが自信を持って売り出している、人気のある車種や装備などは、日本に入ってくることはきわめて遅い、あるいは輸入され ないことも多いそうです。
近藤社長が乗られているベンツは、ディーゼルで太陽電池が装備され、環境への影響で比較すると、日本車の同じクラスよりもかなり地球にやさしいのではないか、と感じました。
日本にいたのでは伝わってこないこのような現地の自動車事情を手に入れるために、しじゅうドイツをはじめヨーロッパに行かれているそうです。

そんな華やかなお話の一面で、厳しい現実もあります。業界には、他の業界と同じく短期的な利益を追求する会社と、じっくりお客様とおつきあいをしてゆく会社があるそうです。
特に外車を取り扱う業種では、多少乱暴に稼ごうとする人たちの会社のイメージがどうしても強く、悩みだということです。
そんな中でも、株式会社コンクニは、既存のお客様を大切にし、地道に商売を続けていられるそうです。新規のお客様は、ほとんどお客様からの紹介です。これ だけお客様に信頼していただいているので、今後もこのやり方を続けていきたい、と言われます。紹介が中心なので、表通りに面してなくても商いが成り立つの ですね!

どの業種でも、続けることが難しい時代。奇しくも、これまで「タウンぶらぶら」にご登場いただいている会社やお店は、いくつもの壁を乗り越えて長く続けられているところばかり。常盤会メンバーの強さ・しぶとさを再発見しました。
これこそ「強い愛知」の原動力ではないでしょうか。

(文責:樺)

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