2010/1 いけもり矯正歯科 – Nanzan Tokiwakai Web
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南山タウンに広告掲載されているお店や会社の訪問記

2010年1月4日

2010/1 いけもり矯正歯科

慌ただしい年末の夜、本山交差点から二筋北を東へ入った閑静な場所にある、「いけもり矯正歯科」さんを取材しました。


院長は S25 池森由幸さん、昭和60年に矯正歯科の専門医院として四谷通り本山交差点のすぐ近くで開業され、14年前に現在の場所へ3階建てのビルを建てられ移動されました。
駐車場へ車を止め、入口は・・とさがすと瀟洒な門扉があり、煉瓦の壁に囲まれ地下への階段を下りたところにありました。

ご一緒にお話をお聞きできると紹介された奥様 伸江さんは、2歳下の女子部の卒業生、G22 旧姓小柳伸江さん。


ご主人の由幸さんが伸江さんを見初めたのは、なんと高校3年の文化祭の時だったそうです。
以前から本山周辺に住んでおられた由幸さんは、東山小学校を卒業すると、公立の城山中学校、旭が丘高校から名古屋大学へと進むのが多いなか、あえて人とは ちがったコースを選択。私立である南山を目指した多くのみなさんと同様、「髪を切りたくない」「ズックの鞄のスタイルもダサイ」という理由。将来は税理 士・会計士、医者などのライセンスを持って仕事がしたいと考え、歯科医をめざして愛知学院大学へ進学。卒業後、歯科のなかでもより専門性の高い、矯正歯科 の専門開業医としての道を選ばれました。
矯正歯科の専門開業医になるのは、歯科医の中でも少し特種な経歴が必要な分野とのことです。まず、歯科医になるのに大学で6年、卒業後6年以上の大学病院 などでの研修が必要です。当時の歯学部の同窓生180名中、矯正歯科に進んだのは4名、その中で矯正歯科の専門開業医になったのは2名という非常に難関の 分野。

日本矯正歯科学会認定専門医になるには、カテゴリー別に10症例を学会で審査を受けることが必要であり、相当の実績がなければデータを集めることすらできないそうです。カウンセリング・スペースの壁一面に飾られた認定証・感謝状がその業績を語っています。

奥様である伸江さんは、南山短大卒業後は商社に務めて、好きな英語を使える仕事を目指されていたとのことでしたが、ご主人から開業の折には手伝って欲しいと望まれ、歯科衛生士資格をとられたそうです。
由幸さんが開業の時から伸江さんとご一緒にとの理由は、私的な生活同様に、医院の設計・運営の面でも良いパートナーが必要であると考えられたからだそうです。また、男性だけの考え方だけでなく、女性としての視点を通じた考え方がとても重要と話されていました。
たしかに、スタッフはほとんど全員が女性。したがって、スタッフを採用する際の奥様の意見は貴重です。ご夫婦の役割分担がうまく機能しているようです。
矯正歯科の学会はアメリカが発祥の地であり、年に2〜4回は海外などの学会にも参加されるそうですが、その時の発表の資料作成には奥様の英語力も発揮されているとうかがいました。また学会の発表にもご一緒で臨まれた時もあるとのこと。まさに二人三脚。

「矯正歯科医療を通じて、より充実した人生を送ることができるように手伝う」との理念のもと、口腔外科、耳鼻科、精神科と連携をとり合い、
・ 歯並びをきれいにする
・ 正しくかみ合わせる
・ 顔つきとバランスのとれた口元
を目標とする治療をされているそうです。
「顔の骨のバランスを整えることで顔つきも変化し、かみ切ることができなかったものを食べることができるようになるのは人生が変わりますよ」。

歯並びの矯正は若い頃にするものと思っていましたが、最近は50歳代60歳代の方も治療に来られるようです。
由幸さんが大学の医局に在籍中、南山で教えていただいた英語のN先生を担当されたとか。「歯並びを治したら もっともてるのに・・・」と外国人に言われたのが、N先生の矯正の理由だったそうです。
アメリカ、韓国・台湾などのアジアの地区のほうが「矯正歯科治療」については意識が高く、アメリカの大リーガー、韓国のキムヨナなどのスポーツ選手は、現 役の選手生活を送りながらも矯正歯科治療をしているそうです。日本人はなぜ矯正歯科治療への意識が低いのでしょうか・・・
・ 社会生活の中、健康に対しての優先順位が低いので、歯並びやかみ合わせへの関心も今イチ。
・ 日本人のコミュニケーションは欧米に比べて、対面した時の顔と顔の距離が遠く、口の中の歯が見えないし、見せようとしない。
・ 日本人は表向きには中身の評価を重視し、外見・容姿の評価は二の次にする。ただし、昨今では、一般の消費スタイルは違ってきていますが・・
こうした理由が考えられる、と教えていただきました。

静かで落ち着いた雰囲気の中、うっかり時間の経つのも忘れ、お話をお聞きしてしまいました。考えてみると、この診療所は大変ユニークな空間です。一般的に 入口、診療スペースは1階にあることが多いのですが、14年ほど前に建築されたこの建物の診療スペースはなんと、地下1階にあります。
建物を建築するとき周辺の方から、この地域は地上4階は「ご遠慮下さい・・」とやんわりと言われ、地下1階を診療スペースにし住居空間を地上の3階にすることに。
オイルショック以後で建築費用は下落しており、当初の計画よりも何と半額近くに。また、「地下は建坪率には関係なく、むしろ診療所スペースを地下にとるこ とによってワンフロアーが広く取る事ができ広々とした診療室ができ、ご近所様にも受け入れていただき感謝しています」とのこと。
エントランスには、わざわざ角を削って丸くした煉瓦の壁面の周り階段を下りて行きます。お医者さんへ行くというより洒落たレストランに入っていくような気持ちに。
正面のドアーをはじめ診療所内の全ての窓枠は、お知り合いから紹介された富山の木製の2重サッシ。

落 ち着いた色彩に整えられた待合室には、お子様たちが使われた木製のおもちゃや、ぬいぐるみたち。横の大きな窓からは、煉瓦に囲まれた地上から降りる階段ス ペースが見え、お医者さんとは思えないほどの雰囲気。付き添いの方の待ち時間にも配慮されたとか。充分に寛げそうです。

通路はカウンター、洗面シンクなどが直線に配置され、動線がはっきりしています。
カウンター内部で洗浄・殺菌された治療器具は、引き出しに入れると反対の通路側から取り出せるようになっています。
通路で付き添いの人にも説明できるように設置されたPC。
これら多くの機能はよく考えられているため、患者さんにもスタッフにも評判がいいとのこと。
ユニークな機能性は建物内部だけではありません。本山は周辺の小高い丘から集まる雨水で冠水しやすいため、地下2階には、100トンの雨水をためることの できるプールが設置されているそうです。また、地下診療室のドライエリア(中庭)の地下にも2トンの水が貯められている水槽があり、これらの水をトイレ洗 浄水や樹木への散水に利用。
また2階3階のベランダ・屋上には土を入れ庭を造り、以前は烏骨鶏を飼っておられたそうです。ある時、その烏骨鶏が、患者さんを送ってこられ駐車場で待っ ていらっしゃったお父様の車のボンネットへ落下。車に傷をつけてしまった訳を保険会社の人になかなか理解してもらえなかった・・・とご夫婦そろって楽しそ うにお話されました。

14年も前にこのような機能やエコを考えられた建物を建てられ、開業するときには奥様とご一緒にと考えられた由幸さん。その先見性と強い意志にリードされたご夫婦の素晴らしいご関係を垣間見ることができました。ますますのご活躍をお祈りします。

(文責:尾関、阿部)

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