2014/11 (株)アケボノ アートワークス – Nanzan Tokiwakai Web
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タウンぶらぶら歩きTown BURABURA Walking

南山タウンに広告掲載されているお店や会社の訪問記

2014年11月24日

2014/11 (株)アケボノ アートワークス

名古屋市昭和区川名本町。 閑静な住宅街に、「アケボノ アートワークス」は在ります。住宅街の景観に呼応しながら、個性的な色とデザインの外観が建築デザイン・オフィスであることを物語っています。エントランス前の広いパーキングに車を停めて、すぐに中に入ってしまうのは、もったいない。ひとしきり眺めました。黒塗りの正面の壁にサーモン・ピンクの枠を配した四角い小窓が並んでいます。隣家との境界の塀には、黄色の看板に黒の英文で ”We realize your dream with you. We are progressive design unit.”  「私たちは、あなたと共に夢を叶える革新的デザイン ユニットです」と書かれていますが、その文字は滲んだようにボヤケています。なぜなんでしょう?


(株)「アケボノ アート ワークス」 商空間総合コンサルタント

オフィスに入ると、真っ赤な四角いロゴが黒い壁に幾何学的に配置されています。
代表コンサルタントの岡島哲明社長(S21)は、開口一番、「設計職人6人で会社ごっこをやっています」と、ほんわりと仰いました。建築士・インテリア コーディネーター・インテリア プランナーの資格をもつ「商空間総合コンサルタント」です。


代表コンサルタント 岡島哲明さん(S21)

岡島さん曰く「高貴な色」である赤に、「連続性」を表現する「四角」。社名の「AKEBONO」が白く抜かれたロゴが、そのままインテリアになっています。面談室の天井まで届く書棚に、背表紙も美しい本が、オブジェのように整えられています。オフィスそのものがアートです。岡島さん率いる建築職人チームが、創り出す総合空間とはどんなものでしょうか?「主に、医療施設のコンサルタントをしていますが、科学プラス心理学。そして温かいハートで、設計はできあがります。一言で設計というと、構造をどうする、コンピューターでプロセスをたてるというイメージがありますが、何より大切なのは、患者さん目線・利用者目線なんです。医療施設に来る人は、気持ちが小さくなっている。心身が辛い。検査で思考がマイナス。そんな時、暗くて長い廊下を歩いたら、もう、やりきれない。だから、心で感じるデザインが必要なんです」

岡島さんは、家業を継いでの二代目社長。岡島さん誕生の1950年、生誕地の曙町に由来した「アケボノ アートワークス」も創業しました。折り紙と積み木が大好きだった子供時代。二代目の血筋で、小5で商業デザイナーを夢見ます。名城大学卒業後は、「大変な業界にすぐに来ることない」という母の言葉と、「日本の文様に興味があって」、親戚筋の呉服屋で反物販売。毎年連続の営業トップ・ボーイの座を捨てて、3年後、家業に入り、飲食店や物販店のデザイン・コンサルタントを手がけます。ホスピタリティの精神を重視した設計をするうちに、「医療施設には、利用者目線がないのは何故だろう?」と考えるようになります。「雨が横殴りに入るのに、車寄せもない、風の流れも考慮されていない、一体、これは何なんだ!?濡れちゃうでしょう、車いすも高齢者も病人も。そんな想いになったのは、身体の不自由な弟の存在も大きかったと思います。弟は、自由が効く幸せを知りません。不自由を補助するのが、医者や医療人の務め。自分は、建築に携わる者として、それを支える役目で世の中に貢献したい」

「たとえば、検査室までの遠い廊下も、アールにカーブして、ヨーロッパの裏通りのように、向こうに何があるんだろうと思わせるような空間だったら、心が明るくなりますよね。廊下の途中に本棚を置いてみるとか。ふんわりシートも、患者さん目線になれば、シートに腰が埋まって立ち上がり難い。車椅子も、介護者の有無で、回転スペースに差が生じます。介護無しで車椅子を回転させると、つま先が上がってしまい、その分の巾が必要になります。テーブルは住宅のそれとは違い、靴の寸法もいれて43センチ以上・・不自由の解決策を見つけるのが設計の仕事。目先の利益を追ったら、できません。ある程度、採算は度外視です」。岡島さんの言葉には、ほんわり口調ながらも、仕事への自信と喜びが溢れています。「はい、楽しんでいます(笑)。エネルギーをかけて、打ち合わせしています。僕たちだって、音楽や絵画、好きなものを前にすると、ピュアな気持ちになるでしょう。医療施設の現場なら、もっともっと、病や不安を忘れられるようなスパイスを効かせないと。検査室までの長い廊下の向こうに、自分の姿を写す鏡があったら、あれ?誰だろう?って思うだけでも、一瞬、不安や辛さから解放される。待合室で、知った顔に会いたくないって心理も働くでしょう。そうした心をひきとってデザインするのです」

もしかして、心理学を学ばれているのでしょうか?「はい、好きな科目でした。フロイト、ユング、宮城音弥、相良守次、白石浩一の心理学書を読んだりしました。科学や理論で割り切れないものがありますから。公教要理入門の世界です。例えば、長い待ち時間で、看護師さんが通るだけでほっとできる待合室。10秒あったら、患者さんのところまで歩けます。もうすぐですよのひと声で、患者さんを安心させられる。そのためには、まず、スタッフがリフレッシュでき、笑顔になれるスタッフ・ルームを創ろう。休憩室のドアを開けた向こうで、明るい色の壁紙や大きなミラーが迎えてくれたら、瞬間的に活力が蘇ってきます。そこには、一切、仕事のものは置かない。オンとオフの切り替えができて、溜まった疲労をリセットできるようにする。狭くてもいい、お金をかけなくてもいい。要は仕掛けを作ればいいんです。今は、開業に初期費用をかける時代ではありませんからね」

「科学するデザイン」・「心理学による機能と色」・「ホスピタリティーの心」で勝ち得た賞状やトロフィーが存分に並んでいます。中に、演歌歌手のCDや、madrasのスプレー缶なども見え隠れします。これらはもしかして?「はい、デザインしました。建築物だけではありません。たとえば、患者さん目線で考えていると、診察券は、高齢者に優しい大きな文字で、わかりやすい説明で・・となってくる。じゃ、それも一緒にデザインして印刷しちゃいましょうという話になる。幸い、商工会議所若鯱の会の先輩の印刷屋さんや、例えば、防犯上のノウハウを求めれば適切な助言をくれる男子部後輩の金庫屋さん、ちょっとしたことで声をかけてくれる仲間の情報力に支えられて、広告代理店の代行から、印刷屋、建築&グラフィックのデザイン、施工までやらせていただいています」


賞状や楯が並んでいます。「あかり賞」等も連続受賞。

「 いただいたご縁に感謝」し、仕事を喜びに変える岡島さんのモット―は「プチ紳士」の本の中の「バスクリンの法則」。目の前の利益を追わず、相手に与えることで、色のついた湯水が還ってくるというgive&giveの経営理念。プチ紳士とは、岡島さんが恩人の一人と仰ぐ志賀内泰弘氏が提唱する「プチ紳士・淑女を探せ」運動の実践です。つい見過ごしてしまうような小さな優しさを行う人を探して、自分も見習い、「世の中を思いやりで満たしましょうという運動だそうです。小さな素敵なお話を集めて小中学校に無料配布している雑誌の編集長が志賀内さんで、もともとは、「しがない」サラリーマンだったことからの命名とか。岡島さんの紳士ぶりは、空間の優しくないバリアを、ありったけの心と技で取っ払うところでしよう。

医療施設以外では、東海4県の大学生協のインテリアや食堂の設計施工も。「名大・生協の全体レイアウトでは、名大の前副学長の谷口元先生(S19)とも一緒にお仕事させていただきました。今は、非常勤講師として、淑徳大学で週1回、建築家・原広司や隅研吾のアトリエの模型などで、展示会場を教室の中に造って、作家研究・コンセプト整理・グラフィック・会場レイアウト等、会場作りに生かす指導をしています」

※以下の資料をご欄ください。

各生協施設

時香忘

楽しみはバンド仲間との演奏活動。オフィスの壁にも、真っ赤なエレキ・ギターとフォーク・ギターが飾られています。これぞ、まさしく岡島さんの青春のシンボル、人生の相棒です。南山中高時代は柔道部。男子部校内の道場・至誠堂で練習中の掛け合いで柱にぶつけられてやむなく退部。その後は、新聞部で女子部との編集会議を楽しむ日々、武道館でビートルズを観たのもこの頃です。高校時代に熱狂したベンチャーズと寺内タケシ。かくして岡島さんのバンド人生は始まりました。現在、異業種仲間20人で結成する「Oh!Jeans」(別名 オジンズ)で、年間約10本以上のライブに出演。敬愛する、CBCでラジオ番組を持つ 河原龍夫さんのライブ・ハウス「ハニーポップ」や自分たち専用の練習場を拠点に活動し、円頓寺や熱田など、いろいろのお祭りイベントや、大同病院ゆうあいの里訪問など、ボランティアにも精力的。もちろん、お得意ナンバーは、ベンチャーズや寺内タケシの「テケテケ テケテケテー」や、懐かしのオールディーズ。次の予定は、12月7日のアサヒスーパードライ。32チャンネルミキサー、スピーカー各種、専用器材も専用倉庫に備えるセミプロです。


Oh! Jeans バン・マスは愛知寺内塾 塾長で愛知県警の現役警察官
中央が岡島さん (↑)

ソフトなお話上手に惹きこまれ、時間を忘れて外に出ると、見送ってくださった岡島さんが仰いました。「駐車場の英字、ボヤケていて気になったでしょう?人間って、読めないとなると、何とか読んでみようかなと思うんです。それが作戦なんです(笑)」。心理を見抜いて、岡島さんは、向き合った全ての人たちを楽しませたいというプチ紳士スピリッツに溢れていらっしゃいます。

取材     塩野崎
取材協力   川村正さん(S25) 金庫屋さん

(株)アケボノ アートワークス

〒466-0855 名古屋市昭和区川名本町2-47
TEL 052-761-5401
FAX 052-761-5406

http://akebono-aw.com/

■ワークス

ルーセントデンタルクリニック

ルーセントJ’sクリニック

大雄会ルーセントクリニック

トヨタ記念病院GLD

その他 医療施設のプロデュース多数

■現職

株式会社 アケボノ アートワークス代表取締役

医療建築研究会 空間コンサルタント理事

環境提案協会中部 顧問

名古屋商工会議所ビルド21 会長

名古屋商工会議所鯱の会 副会長

愛知淑徳大学メディアプロデュース学部 非常勤講師

■ 「プチ紳士&淑女を探せ」運動 話の広場FB

https://ja-jp.facebook.com/giveandgive

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