2023/7 林歯科 – Nanzan Tokiwakai Web
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南山タウンに広告掲載されているお店や会社の訪問記

2023年7月8日

2023/7 林歯科

今回は、地下鉄「中村日赤」駅から徒歩7分の林歯科をお訪ねし、院長の林裕久さん(I09・1992年度卒)にお話を伺いました。

林 裕久さん(I09)

銀行勤務のお父さまの仕事の関係で、林さんが生まれた頃は、ご家族はシンガポール在住。その後の転勤先のアメリカでは、オークランド、ロサンジェルス、サクラメントと転居して、小学5年生の時に帰国。中学校は、当時、杁中にあった南山国際部に進学されます。お祖父さまが歯科医師だったこともあり、大学は愛知学院大学歯学部へ。1999年に歯科医師免許を取得後、開業医を志して9年間、4医院での勤務医経験で研鑚を積み、2008年に現在の中村区で開業をされました。開業準備に2年をかけたそうです。

名古屋市中村区の林歯科

林歯科は、スリッパに履き替えることなく、靴のまま上がります。また、患者さんの待ち時間を長くしないために、2008年の開業当初より、数人程度が座れるように待合室を設計。それが、プライバシー保護と感染対策にもつながっています。

待合室

診療前・診療後には歯磨きや化粧直しをしていただけるように、お手洗いはゆったりとしたスペースが取られています。

お手洗い

診療室は長い廊下の奥に1室のみ。待合室と診療室に距離を取ることにより、診療室の音が待合に聞こえない配慮をしています。

受付から個室の診察室へ
診察室

診療に使う椅子のことを「ユニット」と言いますが、患者さんの診察時の身体を支えるものですので、人間工学に基づいて設計され、感染対策が施されたドイツ製のものを使用しています。

ユニット

機械の中を流れる水は、塩素が消えてしまうと水や配管に感染が起きてしまいます。それを防ぐために、林歯科の「ユニット」は、専用の薬剤にて消毒を行えるようになっています。

ユニット専用薬剤

歯科で扱う材料素材は細かくて多種です。必要に応じて、取り出し・片付けを繰り返すため、シンクは、イタリア製のものを使用しています。

シンク

シンクの引き出しは、細かく区切られ、すぐに取り出せるように整理整頓され、軽い力で開閉できるようになっています。

患者さんの横で材料を削っても粉塵が舞い上がらないように、専用の集塵機も設置されています。

粉塵を吸込むクリーナー(バキューム)

診察に必要な基本の器具類を1セットにしてまとめた「基本セット」は、使用後、薬液の中で超音波洗浄され、滅菌を施した上で保管されています。

基本セット

セットごとに色を変えることで、間違いなく、順番に使用する工夫がされています。

色分けされて整頓された「基本セット」

 

口の中は光が入らないため真っ暗です。しかし、光を当てると、光の色によって見え方が変わってしまいます。常に一定条件で記録ができるようにしたカメラを使用することで、正確な口腔内画像を患者さんと一緒に見て、状態や治療の説明をすることができます。

口腔内撮影カメラ

緊張する歯科治療、患者さんが少しでもリラックスできるようにコップも選んでいます。ちょっとした配慮で気分が変わってリラックスできそうです。

緊張をほぐすのに一役かっている紙コップ

ここまで、院内の設備を写真とともにご紹介してきましたが、林先生は、TOKIWAKAI Webのメルマガ・コラム(184号/2023年4月配信)で、「ヒトはなぜ歯を失ってしまうのか」「失わない方法はないのか」と問題提起されていました。

そこで、ここからは、林先生の治療理念について、「Q&A」形式で伺います。

Q:開業から15年も使用しているとは思えないほど美しい機器ですが、以前から、「用意周到で几帳面な性格」でいらしたのでしょうか。

A:いえ、歯科医師という職業に就いてから、こういう性格になったと思います。開業前に、勤務医として、いろいろな形態のクリニックを経験したことで、自分なりの理想の形を追求できたと思っています。ひとりの患者さんに、決められた診察時間内で、最大限の治療効果をだすためには、どうすべきか。日頃からの整理整頓はもちろんのこと、診察のための準備を常に考えています。

Q:院長と2名のスタッフで完全予約制。診察日は月曜から水曜までの三日間ですね。

A:歯科治療は複雑化し、患者さんからの要望も大きく変わってきています。時代の変化に合わせて2022年の4月からは診察日を三日間にしました。残りの時間は勉強に充てています。歯科医学関連の本や論文だけでなく、医学や看護学、薬学など幅広い分野の勉強をすることで、患者さん一人ひとりにとって、より良い結果が出せるようにと考えています。治療だけでなく、前段階の準備をしっかりすることで、納得していただき満足してもらえるように心がけています。

院長室にある書棚のひとつ

Q:心身の健康、生活の質を落とさないために必要不可欠の「歯と口腔」ですが、歯が痛くなって仕方なく歯医者さんに行く人、または、できれば歯医者さんに行かずに済ませたいと思っている人も、少なくないのではないでしょうか。

A:例えば、「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という「8020運動」ですが、厚生労働省によれば、2016年には達成率80%。成功していると言われています。しかし、研究者の中では、歯の本数だけが保たれていても、果たして、きちんと噛むことができているのかという、その点が問題視されています。健康を保つためには、きちんと咀嚼できることが重要です。歯の本数を考えるあまり、抜歯した方がいい歯を残しておくことで、逆に健康を損なってしまうケースもあります。その辺りのことを加味することが重要になってくると思います。例えば、むし歯になった際に、歯の形を治します。そのことを「歯の形態回復」と言いますが、「歯の形態回復」と同時に、その歯の形が、モノを食べたり、話をしたりする機能、つまり「口腔機能の回復」に結びついているのかどうかが、非常に大切なのです。

Q:むし歯を治療をすれば、むし歯ではなくなった、と言えるのでしょうか?

A:歯科治療によって詰め物や被せ物などで歯の形は一見治ったように感じます。しかし、これはあくまでも人工物です。歯科治療は、処置終了後がむしろ出発点です。その後の経過の良否によって真の評価がくだされるという特殊性があります。施術前における術後の予測に対して、経過を観察して、それが実際、どうなったかを比較することが重要です。そのため処置後の経日的あるいは経年的な観察が必要となります。

Q:「歯を一本失う」ことは、どういう影響がありますか?

A:口の中に、髪の毛が1本入っただけで気持ち悪いと感じますよね。その位、口腔は敏感なのです。そのため、歯を一本失う、もっというと歯と歯の接触が一箇所、少しでも変わることで、口腔内のバランスは大きく変わってしまいます。しかし、人間の体は、その変化に適応しようとします。適応できる間はいいのですが、適応できる範囲を過ぎてしまうと、改善はされなくなってしまいます。歯はたくさんあるから一本ぐらいなくても大丈夫という考えは、実は大変危ないことなのです。

Q:歯を失わないためには、どうしたらいいでしょうか?

A:歯を失わないためには、「セルフケア」「プロフェッショナルケア」(プロケア)を行うことが大切です。セルフケア、プロケアという言葉は、定着していると思いますが、そのセルフケア、プロケアが適切に行われているかというと、ちょっと怪しいと思います。車を運転するためには、免許取得のために、全員が教習所に通いますし、免許の書き換えの際には定期的に講習を受けます。一方、自転車に乗る場合はどうでしょう?免許はいりません。自動車は、必ず車道の左側を走りますが、自転車の場合は、左を走る人も右を走る人もいますし、車道を走る人も歩道を走る人もいて、一定のルールに基づいてはいません。セルフケアもプロケアも、自転車と同じで、一定のルールに基づいて行われているとは思えません。正しく行えている人も、いない人もいらっしゃるのが現状ではないでしょうか。

Q:歯医者さんを選ぶ際に参考になることはありますか?

歯科治療は、情報・設備・技術が大切です。日頃から、かかりつけの歯医者さんとコミュニケーションをとっていただいて、安心して通い続けられるかどうかの判断材料としていただくといいと思います。そのためには患者さん自身が、情報を持っていなければなりません。常盤会には多くの歯科医がいらっしゃいますので、是非活用していただければと考えます。

Q:母校や南国卒業生のための活動も変わることなく続けていらっしゃいますが、常盤会理事としても、南国と常盤会の橋渡しをされていますね。

A:常盤会に関わることで、個人としても団体としても、共にプラスになる仕組作り、つまり、みんなが集まりたくなる同窓会活動を考えていきたいですね。

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※林裕久さん「つないでいこう南国」

南山国際校の閉校が決まった2015年の翌年から、SNSで世界各地の南国卒業生に母校の状況を発信したり、有志の卒業生で立ち上げた「つないでいこう南国」で、母校のカフェテリア営業延長を求め、当時では珍しかったクラウド・ファンディングによる寄附金で、営業延長を成し遂げたり、母校の在校生と卒業生のための活動を惜しみませんでした。閉校直前の2022年10月には、「卒業生による最初で最後の文化祭」(卒祭)の実行委員長を務め、当日は、1600名を超える恩師・卒業生が母校に集いました。2023年3月5日に開催された「南山国際・感謝式」では、国際部代表として、「感謝の言葉」を述べるなど、2022年度の最後の学年が巣立つのを見守り続けました。閉校後の現在も、南山国際部出身の常盤会会員を代表して、新鮮な「南国の価値観」も取り入れて、常盤会活動を続けてくださっています。

※「つないでいこう南国」

Facebook (フォロワー 1896人)
Instagram (フォロワー 823人)

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後記:林先生のお話を伺ううちに、歯を失わないための「本当の予防」が少しずつ見えてきた気がしました。定期的な歯の検診がいかに大切か、大いに納得できました。常盤会の活動でも、より多くの南国Familyが、より活力ある常盤会の「南山脈」づくりに新しいパワーを吹き込んでくださることを期待しています。

取材:阿部 正子(G20)・塩野崎 佳子(G20)

写真提供:林歯科

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林歯科

住所:愛知県名古屋市中村区藤江町3-49-2
電話:052-471-1180
※お電話、ご来院される際は、「南山タウンを見た」とお伝えください。
診療時間:9:30~13:00 14:30~18:00休診日:木・金・土・日・祝日
交通手段:最寄りの駅 地下鉄東山線中村日赤駅より徒歩7分。駐車場あり

林(磯村)裕久(I09/南山国際部1992年度卒)
・1993年3月南山高等学校国際部 卒業
・1999年3月愛知学院大学歯学部 卒業
・1999年4月歯科医師免許取得
・県内歯科医院に勤務(4医院)
・2008年1月愛知県名古屋市中村区にて林歯科 開業
・現在に至る

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