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南山タウンに広告掲載されているお店や会社の訪問記

2024年1月20日

2024/1 (株)白鳩

1950年創業の(株)白鳩 は、病院でのみ流通していたマスクを、日本で初めて一般向けに改良し製造販売したマスクメーカーの老舗です。

2019年からのCovid -19によるパンデミックで、世界レベルのマスク不足に(株)白鳩が歴史的な貢献を果たしたことは、「すべての人々の幸福のために」という企業理念を追求された証でしょう。

(株)白鳩3代目社長・横井隆直さん(S45)を、名古屋市南区の本社ビルにお訪ねし、自社製造の機能性マスクのあれこれや、プロ野球選手が愛用する新開発のサポーターベルト「コアエナジー」について、有益なお話を伺いました。

(株)白鳩ホールディングス 代表取締役社長 横井隆直さん(S45)

横井社長は、数ヶ月前から、ご家族を伴って、仕事と生活の拠点を米国カリフォルニア州アーバイン市に移し、取材は、一時帰国のご多忙の中、行われました。横井社長にとって留学経験のある米国とはいえ、「パスポートとクレジットカード1枚で乗り込み、ホテル暮らしから始めた生活は、一言で、大~変!!(笑)」だったそう。「仕事での苦労は、Try&Errorで計画のうちなんですが・・」と、まるで挑戦を楽しむかのように。2021年設立の「コア・テクノロジーUSA」で米国進出を果たし、昨年、海外暮らしをスタートさせたのも、「国をまたいで良い製品をお届けしたいから」。

日本のマスク文化は(株)白鳩の歴史 

まずは、創業者で祖父の横井正男氏が医療用マスクに着手した起業人生をご紹介いたします。敗戦直後の蒲郡の魚網工場で働いていた正男氏が、ヘアネットを考案したのは1950年。ガーゼマスクを手掛けることになったのは、同じ魚網工場で製造していたマスクのゴム部分が医療用マスクの素材として好評であったことがキッカケに。当時は見るのも珍しかったというマスクを、訪れた病院で初めて手にした正男氏は、そのマスクの温かさと保湿性に感銘を受けたそうです。物資の乏しい戦後に、なんとかガーゼを調達することに成功。行商から始めて、やがてマスクの販売網を開拓するなど、一般の民間人が容易にマスクを入手できる日本の衛生文化の貢献に、103歳の生涯を「がむしゃらに」捧げられました。そして、「創意工夫・誠意熱意・感謝をもって、生活をラクに行うことを工夫した」2代目の父上を継いだ3代目は、母校の教え「人間の尊厳のために」を家業の社是に実践されています。自社の入社式には、南山のスクール・モットーをお話になるそうです。「人の存在がご縁となって広がっていく」ことを仕事の喜びとする横井社長のお考えを裏付けるエピソードもご紹介いたしましょう。

2019年からのコロナ禍の真っ只中、医療法人社団こやま会・こやまクリニック常務理事の小山しげ子さん(G13)は、医療最前線の現場で、透析患者や医療スタッフのマスク不足の死活問題に苦悩する中、横井社長から、無償でのマスク提供の支援を受けたことで、窮状を乗り越えたお一人です。偶然にも、横井社長が、母校の同窓生であることを知り、この時ほど、南山教育のありがたみに触れたことはなかったそうです。また、コロナ禍の非常体制時、マスクを求める声、声、声に、社員一丸となって不眠不休で対応されたのはもちろん、新規参入のマスク会社にまでも、自社技術のノウハウを惜しげもなく提供されたという横井社長の信念には敬服するばかりです。

白鳩マスクの3つのコンセプト 

①飛沫ウイルス・花粉・ハウスダストをカットする「遮断性」 ②息苦しさを軽減する「通気性」 ③もっとも重要となる「密着性」

「体内にいれたくない不要なものを遮断するフィルターが入っているのが不織布マスクです。(注:1986年不織布マスクの販売開始 / 1985年 花粉用フィルターマスク発売 / 2005年 ノーズパット付マスク発売 @白鳩HP参考)今はフィルターだけの製品もあります。マスクの機能性は今や高められるところまで追究して高めたので、技術的に多種多様なものができています。最近では、マスクに求められる価値は、UVカット、小顔効果なども加わって多様化していますね。ウイルスそのものを死滅させる銀や酸化チタンを内蔵したマスクも製造・販売しています。国内大手の製薬会社や衛生用品メーカーが販売するマスクの一部は、白鳩が自社工場で製造したものです」と伺って、その日、着けていたドラッグストア購入のマスクも、白鳩製品とわかり、とても驚きました。

横井社長がとりわけ重要とするマスクの「密着性」を試すには、「鼻の両脇を両手の指で押さえ、さらに両頬を両方の手のひらで押さえた時に、息苦しくなるようならば、着用マスクは完全に密着しておらず、50~60パーセントの遮断率」になるのだとか。ウォーキングや運動時にも、息苦しくなくて、密着する“マイ・マスク”を見つけることが、感染力を強めて生き延びるウイルス群に立ち向かう課題といえそうです。

自社ブランドの「アンドマスク」は高性能フィルター内蔵&手洗い可能

横井社長は地球環境にも言及。「コロナ禍で不織布マスクが推奨されるようになりましたが、どうしても製造過程で大きなエネルギー=炭素が発生します。SDGsが叫ばれる昨今、洗濯可能なマスクとして、『andMask』を開発しました。機能性はもちろん、デザインにもこだわっています」

「アンドマスク」  9色5柄サイズ3タイプ
環境に配慮した紙製箱はマスクケースとして使用可/ 素肌を美しくシフォン・ジョーゼット生地を使用 / 耳ゴムはソフトなウレタン/ 手洗い可 ポリエステル・ウレタン素材で乾きやすい

サポーターベルト「コアエナジー」は2024年内にも新製品の発売予定

「渡米」の理由ともなった新開発のサポーターベルトについても、興味津々、伺いました。「マスクを縫製する技術を活かして(注:現在は縫製していない/横井社長談)、生地を使ったベルトの試作が始まったのは15年前。知り合いのプロ野球選手から相談を受けたのが、開発のキッカケに。数年間の試作の末、体幹を整える伸縮性に富んだサポーターができました。8年前に会社を設立しましたが、結局は、人が好きなんですね。会社存続の価値の土台は、マスクもベルトも、人の幸せのため。想いを共有して繋いでいくスタイルです。ベルトは選手から口コミで広がって、7割のシェアを席捲。選手たちは、より良いパフォーマンス、より良い成績を残したい。ケガをしたくない。だから、筋肉に疲労を残さないこのベルトが愛用されているのでしょう。2021年にはメジャーリーガーにも商品を届けるためにアメリカでも現地法人を設立しました」。

コアエナジー 国内外のプロのアスリート500人以上が愛用中

取材当日、横井社長が着用するビジネス用ベルトを外して見せてくださいました。「コアエナジーの特長は‟柔軟性”にある”というだけあり、生地を幾層にも重ねた質感は、横井社長こだわりの「伸びた繊維が瞬時に戻る伸縮性」を、おおいに実感させるものでした。

前述の小山さんからの、「医療従事者の職業病ともいえる腰痛に悩む医療スタッフ用のベルトも是非!」との要望には、「もちろん試作済みです(笑)。お待ちください」との回答が。腰はカラダの肝心カナメ。腰痛は人類共通のテーマです。一般発売のX‐Dayが待たれます。 

横井社長の米国におけるご活躍、「人間の尊厳のために」がますます実践されますことを願っております。(取材:2024年1月15日 足立恵子&塩野崎佳子)

横井隆直(S45) プロフィール
 1993年3月 南山高等学校 卒業
 1994年4月 大阪学院大学 流通科学部入学
 1997年10月 大阪学院大学 中退
 1997年10月 アメリカ シアトルHigh line community college入学
 2003年11月 株式会社白鳩 入社
 2015年7月 株式会社白鳩 代表取締役就任

現在(株)白鳩ホールディングス 代表取締役社長 

(株)白鳩/(株)ヨコイ / コア・テクノロジー株式会社/ SHIROHATO AUSTRALIA PTY LTD. / CORE TECHNOLOGY USA INS. 

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メルマガ(2021年4月掲載)vol.159 (株)白鳩 横井 隆直(S45)「マスクがますますクローズアップされていく中で我が社が想うこと」|NANZAN TOKIWAKAI WEB

 

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