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2024年3月17日

v0l.188 秋谷由紀乃(K25)「イラストレーターからの『絵』についてのお手紙」

 初めまして、この度南山常盤会のコラム執筆に参加させていただくことになりました秋谷由紀乃(あきやゆきの)と申します。
先日同級生に書いてみないかとお声がけいただき筆をとりました。拙い文章ではありますが、隙間時間のお供に読んでいただけると嬉しいです。改めてどうぞよろしくお願いいたします。
 
 私は 2018 年に南山国際を卒業した後、クリエイター系専門学校 HAL 名古屋のCG 映像学科で 4 年間学びました。動画制作の予備知識として、独学では難しい 3DCG の分野を学ぶために入学したのが大きな理由です。
その後動画制作会社に入社しましたが、やはり自分は絵を描きたいという思いが強く足早にフリーランスへと転職しました。今思うと少々無謀だったように感じますが、ターニングポイントという意味では良いタイミングだったと思います。
 
 現在はリモートを駆使した在宅ワークの形でイラスト制作を中心に仕事をしています。
手がけたものとしては Vtuber さん(インターネット上でイラスト・CG のキャラクターの姿で生放送等行う職業のこと)の立ち絵、SNS のプロフィール画像、ゲームのキャラクターデザイン、コンサートで使用する動画のイラスト制作、縦読み漫画のネーム担当、動画絵コンテ等々……現在進行形で実に様々な仕事をさせていただいており勉強の毎日です。
 
 今回は私の活動の源でもある「描くこと」について書きます。なにをテーマにしようかと考え悩みましたが、クリエイターらしく絵について語ってみようと思います。趣味で描いている方もそうでない方もいらっしゃると思いますが、捉え方は人によって様々です。その中で秋谷由紀乃という人間の絵への捉え方を考えてみました。
 私はイタリア・ミラノに中学 1 年~高校 1 年の 4 年間滞在した帰国子女です。
 多感な時期を海外で過ごしたからか、滞在期間中に日本への憧れが大きかったのが高じてアニメや漫画に強い関心を持っていました。幼い頃から気が付けば絵を描いているような人間でしたが、そこへさらに絵を描きたいという欲求が刺激され、暇さえあれば授業中であろうと構わず、ノートにいろんなものを描いていました。
 イタリア滞在中の短期間にインターナショナルスクールにも通いました。そこでのコミュニケーションツールとして意外にも絵を描くスキルが活躍しました。
 英語ではなかなか言葉にできないとき、絵が描けた私はノートとペンを取り出しその場で簡単な絵を描いて意思疎通をしていました。その時に即興で描いた絵に「ジャパニーズ・マンガだ!君はこんなに素早く絵が描けるんだ!とても良いスキルだね!」と相手に絶賛されたときは、絵の持つ力に心底感動したのをよく覚えてい
ます。 ネットに絵を投稿するようになってからも、海外の方々からもよく褒めていただいています。
 また、専門学校の先生から「あなたの描く絵のタッチに一目惚れした。ぜひ愛猫を描いてもらえないか」と頼まれ、額縁つきの白黒で細かく描き込んだ絵をプレゼントしたこともありました。その先生は数年前に亡くした愛猫の絵がほしいという夢が叶って泣きながら大層喜んでくれました。あまりにも大切そうに絵を撫でてくれるので思わずもらい泣きをしてしまいましたが、絵を描いて喜んでくれる人がいると実感する大切な思い出になりました。 こうした経験の積み重ねに絵が大きく関わっていたことが、今の自分の絵を描くことに対する自信に繋がっているのではと思っています。
 
 趣味で好きなものを描く絵と、仕事として描く絵では考え方や描き方はもちろん異なります。 それでも自分の手で生み出したキャラクターや風景が、生き生きしてて楽しそうだねと言われた時は本当に嬉しくモチベーションにも繋がります。恐らく自分にとって絵は生きる上で楽しさを失わせない、切っても切り離せない縁を持つものだと感じます。もし、仕事で絵を描かなくなったとしても、私のことなので意地でも絵は描き続けているんだろうなと思います。
 
 今文章を綴りながら、我ながらよく絵を描くことに飽きないなと感心しています。絵の上達に貪欲で興味が尽きないからこそ、今もこうしてペンを握って仕事を続けられるのではないかなと思いました。
 
 長々とした文章になってしまいましたが、普段「絵」に触れない人には新鮮な話題になったのではないでしょうか。
まだまだ寒い日が続きますが、皆様自愛下さい。最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
 
 
【自己紹介】
秋谷 由紀乃(あきや ゆきの) K25
ベルギー生まれ、愛知県出身。南山国際校 2018 年卒業後、専門学校 HAL 名古屋へ。
現在はフリーランスとしてイラストや漫画制作を中心に幅広く活動中。

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