vol. 16 仲野 憲光(S20)「私の11月16日」 – Nanzan Tokiwakai Web
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2006年11月5日

vol. 16 仲野 憲光(S20)「私の11月16日」

   *仲野さんは、「古壁桑」のペンネームで、「廻船問屋樽屋市兵衛」(文芸社)を著しておられます。
 
 
今年もボージョレヌーヴォーを頂いた。ご存知のとおり、フランス・ブルゴーニュ地方のボージョレ地区の新酒という意味らしい。ワインのことは、私はあまり詳しくない。フレンチ系カナダ人の妻と娘の方が詳しい。私は口に入る物なら、按摩さんの笛でもよいと言った方だ。以前、梅酒を造って、最初に飲んだ時に、私が天白ヌーヴォーとなづけたことがあった。私はアルコール類が強い訳でもないが、好きだ。アル中ではないが、健康の為出来るだけ歩くように思っている。
思っているだけで、努めてはいない。歩(アル)中である。最初に飲み出したのは、時効です、時効ですよ。・・・ですよね。小学校4年生の時。土曜の夜、必ず冷で日本酒をコップ一杯飲んでいた。諸先輩も懐かしむ、「ピンクムードショウ」と言うのを見ながら楽しんでいた。 その内、体がだるくなり、母に言って、
病院に連れていってもらった。診断の結果、「お子さんは酒など飲む筈はないのに、肝臓が腫れている」と言われた。医師が「坊やは塩辛いものが好きなのかな?」と問われたので、「はい、大好きです」と得意になって答えた。
「そうか、これからは、あまり食べないように」と言われて、心の中では、「神様ぁ〜、ありがとうございます。これから酒は飲みません」と御礼をした。
心からです。本当です。母は、父に報告をして、それからと言うものは、塩辛いものは、一切口にしなかった。家庭内では。又、心の中でも、禁酒宣言をした。
ただ、塩辛など見ると、塩辛の方から、「俺を無実の罪に落としいれやがって」とこちらを見つめる視線に罪悪感をいだいた。おっと、ワインの話であった。
外国映画などを見ると、ワインのカップに指を入れて、天に地に、とか言って、ワインをふりまく晩餐のシーンがある。家内に聞いたら、毒が入っているのを確認するパフォーマンスだと言う。どうやって?指には銀の指輪をはめており、ワインに毒が入っていれば、指から滴ったワインが、銀の指輪を変色させるそうだ。なんとも物騒な儀式だ。私は、晩酌はしない。心許せる友達と飲むのが好きだ。「楽しみは 心をおかぬ 友達と 笑い語りて 酒を飲む時」飲酒運転防止用に、一人 酒が飲めない男をいれますが・・。
私は父母が亡くなる前、小学校の頃 肝臓が腫れた話をすると、塩辛いものが好きで、そうなったとずっと思っていたので、土曜の晩酌の話をゲロした。
父母は、「それでも、わが子達は、陽気な酒で 親として こんな幸せはない」と言ってくれた。何を隠そう、母方の祖父も、父方の祖父も大酒飲みである。
酒の飲み方を教えてくれた両親にこころから感謝している。また、飲み方については、我が娘にも、息子にも教授して・・・いや、されている方が多い。
11月16日、そのなんとやらヌーヴォーもさることながら、父の命日でもある。

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