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2022年3月27日

vol.168 田中 益子(G19) “Do you have a nice face?”

キーワード:<黄金比率(Golden Law)>  <E -ライン(Esthetic Line)>

 マスク生活が続いています。目がチャームポイントの方には平気な現象かもしれませんが、出会って幸せな気分にしてくれる笑顔・スマイルは、やはり「お口元」と目元とのセットで“なんぼのもの”ではないでしょうか。SNSで炎上したのを苦に、人が自殺までしてしまう昨今は、言い替えるならば指一本で生命を奪い得る時代とも言えます。その裏側には無責任でお手軽な鬱憤晴らしがあるかと考えられます。そんな時こそ手軽な笑顔が大きな癒しになり得るのでは?と思います。
 子供のみならず今や大人もできる矯正歯科治療は「歯並び」を治療して「歯を真っ直ぐにする!」と思われがちですが、本来は「お口の機能を改善し、きれいなお口元をつくる」治療です。キレイなカタチは機能(働き)もナイス!なのです。つまり食べたり笑ったりするのに容易にかつ自由にお口を開けたり閉じたりができる!  発音しにくい音がない!  嚥下(飲み込み)がスムーズ!  歯磨きし易い(この事により虫歯や歯周病が予防し易くなる)!etc.でしょうか。こうした結果として「素敵な笑顔」が得られます。ところで日本人にはいわゆる悪い歯並びの方は多いのでしょうか?
 「八重歯ちゃん」は日本では「カワイイ!」と言われますが、西洋では「ドラキュラの歯」です。これはアゴと歯の大きさのミスマッチ、アンバランスによって現れます。
また「受け口さん」の数は欧米人と比べると、日本人は3倍おられるそうです。白人では少数派なので「悪人」のイメージがあり、そのおかげでハリウッド映画で希少価値もあって重宝されたのがアーノルド・シュワルツネッガーでした。遺伝するものなのかな?との疑問も含めて、歴史に残る「受け口さん」に関しては、オーストリアのハプスブルク家のサイトを御覧頂くと興味深いと思います。
 昨今の日本では「小顔ブーム」が到来しています。メイクや服の襟の工夫で小顔に見せるのは結構かもしれませんが、これはお顔を正面からだけ見て、白人礼讃民族である日本人がコンプレックスの発露として求めた結果であるような気がします。正面から見たお顔のバランスを考える際に、大変面白いもので「黄金比率(Golden Law)」というものがありますので、インターネットで是非ご覧下さい。
 一方横顔を見ると、日本人のお顔は欧米人に比べて圧倒的に貧弱という程までに、上アゴの前後の寸法では超小顔です。言い換えると「後頭部が絶壁状態」のタイプです。
 それでは、この横顔のバランスにはどういう物指しがあるかと言いますと、少し以前からよく耳にするようになった「E -ライン(Esthetic Line)」です。これは(右側の)横顔で、鼻の尖端と下アゴの尖端を結んだライン上よりも下唇だけが0.5mmだけ前へ出る(lineに軽く触れる程度)状態が理想的な横顔のバランスだという物差しです。
これもインターネットでご覧頂くと関連の面白いサイトがたくさんあります。ただ理想的と云われるE -ラインの獲得はお鼻の高さの控えめな日本人には極めて高いハードルです。
 子供の頃に観たテレビドラマで、妻に逃げられた夫が、元妻のことを絶世の美女だったと説明するくだりで「額に知性、目に憂い、鼻に気品、口に華」というのを、私は「へぇー、スゴイなぁ」と思いました。しかし、その夫の話に周囲の人が入れた突っ込みは「そんな化け物がいる訳ないだろ」というものでした。こういう情緒的な美人の形容よりは、良好な機能を果たせるキレイなカタチという観点でナイスなお顔を求める方が健康的なのかなと思うこの頃です。
 
 
G19 田中益子
1972年 女子部卒業
1978年 歯科医師免許取得
2014年 日本矯正歯科学会認定医取得
 

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