vol.174 ベイリー真秀(ベイリー・マシュゥ)(K24)朗読劇「わが行く道は遥けくて」出演にあたって – Nanzan Tokiwakai Web
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2022年10月16日

vol.174 ベイリー真秀(ベイリー・マシュゥ)(K24)朗読劇「わが行く道は遥けくて」出演にあたって

 本年6月19日(日)、南山学園講堂にて朗読劇「わが行く道は遥けくて」(作・馬場豊/2回公演)で渡辺崋山役を演じさせていただきましたベイリー真秀です。
 
 すでにご存知の通り、私が中学から6年間通った母校南山国際高等・中学校は2022年度をもって閉校することになりました。唯一無二の母校が閉校してしまうという中で、公演が南山国際部発祥の地で行えたことに不思議な縁を感じました。
 
 私自身、中学1年生より演劇部に所属し、南山国際校文化祭やピースあいちでの反原爆・反戦をテーマとする朗読劇、豊田市の保育園での演劇などを中心に活動してきました。高校からは部長として活動に専念し、演劇は私の青春の中でも大事な1ページとなり、演劇に関する様々な知識と経験も同時に蓄積されていきました。大学に入り、一度演劇から離れましたが、馬場先生からのお誘いを受け、朗読劇「捕虜のいた町」の初演・再演に出演させていただきました。
 
 そして、演劇に足を踏み入れて10年が経ち社会人となった今、南山国際校の多くの関係者が集って、南山学園講堂で上演することになった不思議な縁。そして、今回も参加者の6割が、南山国際校の元演劇部の生徒達であったことから、昔の青春の1ページを振り返っているようでした。
 
 渡辺崋山の名を最初耳にした時、私の知識は教科書で「蛮社の獄」という言葉を聞いた事がある程度でした。今回の役を演じるにあたり、彼の生涯と彼が描いた画を見ていくうちに、そして、彼が生まれた環境、役職、時代背景が変化していくに従って、画家としての考え、目標はもちろんのこと、一藩士から重役へと担った責任なども、彼の生涯に大きく影響していることを初めて知る機会となりました。画を描くことだけに集中していれば、天下一にもなれるという自負を持っていた崋山。にもかかわらず、日本が国としてどうすべきで、何が国益につながるのかまでを考えられるほど視野の広い人物であったことに感銘を受けました。
 
 劇の練習にあたり、やはり、社会人になり演劇から離れていたというギャップから、感情の表し方、声量などに不足な点が多々あることを感じました。しかし、馬場先生からのご指導、そして、崋山の父親役の俳優・天野鎮雄さんの演技力に圧倒される中で、練習のたびに崋山という役にのめり込んでいく自分がいました。また田原藩の家老であった崋山の資料(国指定重要文化財と田原市指定文化財)を遺す田原市からも朗読劇を観にいらっしゃる方があるという話を馬場先生から伺い、生半可な気持ちでは取り組んでいられないとさらに気が引き締まりました。
 
 公演当日には約300人のご来場をいただき、私が舞台に出て、会場を埋めるお客様を見たときには、感動とともに一気に緊張感が高まりました。しかし、途中からその緊張感が高揚感へと変わり、「やはり演劇は楽しいな」と思いながら崋山を演じることができました。上演後には多くの方に声をかけていただき、「初めて朗読劇で泣いた」「渡辺崋山の生涯を通しての気持ちを役者さんがうまく表現できていた」など、お褒めの言葉をいただき、心の底から達成感がこみ上げてきたのを忘れません。翌月には、都合で上演前に訪れることができなかった田原市博物館に赴き、渡辺崋山の遺書などとともに、当時の暮らしや家庭環境、時代背景などを深く学び、改めて渡辺崋山という人物を語り継がなければいけないと強く思いました。
 
 最後に、今回、私に主演としてこのような出演の機会を与えてくださった馬場先生、並びに、上演の告知、チケット普及にご尽力くださった常盤会の皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。
どうもありがとうございました。
 
*注釈
●朗読劇 『わが行く道は遥けくてー渡辺崋山の生涯―』(原作・演出/馬場豊)
 2022年6月19日、南山学園講堂において、 俳優の天野鎮雄さんはじめ、南山国際中・高校の演劇部卒業生や有志・保護者・教員(現・元)、男子部・女子部の生徒と教員(現・元)、総勢25名のキャスト・スタッフで作り上げた舞台公演。 三河の小藩に生まれながらも、次々に立ちはだかる困難や課題と真摯に向き合った 崋山の画業、武士として揺れ動く思い、蘭学との出会い、「蛮社の獄」(現代の日本社会に通底する)に至る時代背景に目を向け、彼をとりまく蘭方医・高野長英、画家 ・椿椿山らを登場させ、開国に向かって動いていく時代の息吹・群像に光を当てた朗読劇。
 
●原作『わが行く道は遥けくてー渡辺崋山の生涯―』(馬場豊著/2021年鳥影社刊)
 長年、南山国際校で、国語の教鞭を取り、演劇部顧問として朗読劇の指導や戯曲 創作、上演を手掛け続けた馬場豊先生が、渡辺崋山をテーマに書き下ろした戯曲。
 
●渡辺 崋山(1793~1841)
 江戸時代後期の武士・画家・蘭学者。三河国田原藩士・家老。 1839年「蛮社の獄」で幕府により罰せられる。ペリー来航の12年前、自刃した。幕府が崋山の名誉回復と墓の建立を許可したのは、幕府滅亡直前の1868年(慶應4年)のことであった。来たる2023年は「崋山生誕230周年」。

●「蛮社の獄」
 1838年(天保10年)に起きた言論弾圧事件。高野長英・渡辺崋山などが、モリソン号事件と江戸幕府の鎖国政策を批判したため、処罰された。 崋山は蟄居後、自刃。長英は永牢(終身刑)。
 
ベイリー真秀(ベイリー・マシュゥ) 自己プロフィール
 生まれも育ちも愛知県名古屋市
 アメリカ人である父の影響で度々渡米するが人生のほとんどを名古屋で過ごす仕事は演劇とは無縁の不動産投資関連のコンサルタント業
 演劇サークルにも無所属
 アマチュア中のアマチュアながら普段から演劇には深い関心を寄せる
 馬場先生はじめ昔からの演劇仲間の繋がりを通じて社会人になる
 現在も定期的にこのように様々な演劇に出演させていただいている

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