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2023年9月25日

vol.183  平野 早有理(G30)「ケアビューティストを知っていますか? ~100 歳になってもおしゃれを~」

 還暦を来年迎えようとする今になって、今年の4月から『介護美容研究所』という専門学校の学生になったG30の平野早有理です。看護師として23年間、臨床現場を経験してきましたが、新たなステージに立つために、私が今チャレンジしていることについてお話ししようと思います。
 
 人生100年時代となり、2025年には65歳以上が3657万人となります。
 誰もが健康で、認知症もなく人生最後まで“ 自分らしくあり続けること” ができればいいのですが、高齢者の方々の多くは、お洒落が好きだった自分を過去に閉じ込め、諦めてしまわれています。
 
 『キレイな自分』を諦めかけた高齢者の方々に対し、美容のチカラで笑顔や生きがいをお届けするのが『ケアビューティスト』です。介護現場で高齢者の方に対し、メイクやネイル、アロマタッチケアなどの美容のアプローチを行うことによって、リハビリ効果や社会参加への意欲の向上、穏やかでいられる時間の増加、入浴や食事を拒む回数の減少などの報告も多々あります。美容の可能性は無限大であるとして、今後ますます需要は広がるでしょう。
 
 今、私はその“ 高齢者の方々に対する美容ケア” を学校で学びながら、クリニックで勤務しています。小さいころから私自身もおしゃれが大好きで、母から「本当に小さなころからお洋服やヘアスタイルにこだわりがあったよね」と言われていました。58歳となった今、若い頃とは鏡に映る姿は変わり、がっかりしますが、今もおしゃれをして好きな所に出かけるのがストレス解消になっています。きっとこの様な気持ちの高齢者の方も多いのではないかと考える様になりました。
 
 また、自身が今まで関わってきた慢性疾患・透析患者さんの看護、美容皮膚科で美しくあるために努力している患者さんへの援助、不妊治療での患者さんの心のケアなど、すべての仕事の集大成、また生きてきた人生の集大成になる仕事が『ケアビューティスト』だと考えました。
 
 メイクやネイル、タッチケアには、その方の見えていなかった内面の輝きを外に引き出す力があります。ご本人のみならず、ご家族もとても喜んでくださり、介護美容はそこにいるすべての人と一緒に幸せな時間を共有できると、施設実習で強く感じました。人は人によって癒されます。何歳になっても、そして最期の瞬間まで、自分らしく輝ける社会を目指して、まだこれから学びと経験を積み上げていく過程ではありますが、『キレイ』は生きる力になるということを、大切なご家族のために心に留めていただければと考えています。
 
 今の高齢者の方々はまだネイルやエステが一般的ではなかった世代ですが、冒頭でお話ししたように、これからどんどん高齢者が増えて、昔サロンに通っていたけれど年齢のせいで諦めてしまった方々もたくさん出てくると思います。『ケアビューティスト』は、ニーズやジャンルがどんどん広がっていく職業だと思います。どんな人でもあたり前に美容を取り入れて、自分らしく美しく楽しく人生100 年時代を過ごすことができる社会になります様に。
 一人でも多くの高齢者の方の笑顔を引き出すお手伝いができたらうれしく思います。
 
 人が人として生き、輝いて、人生を全うする…これが、私たち南山生が6年間学んだ“人間の尊厳・HOMINIS DIGNITATI ” であると思うのです。
 
 
プロフィール
1983 南山高校卒業
1987 南山大学文学部教育学科卒業
36 歳で看護師資格を取得
23年間、臨床で患者さんに関わる
現在、『美を通して心のケアもできる』ケアビューティストを目指して勉強中
 
スクールのホームページなどもありますので、ご興味ある方はご覧ください。

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