2026年4月19日
私は2022年からインドに住み、仕事をしている。
「インドに住んでいる」と言うと、私が女性であることもあってか「危なくないの?」とよく聞かれる。
インドというと「治安が良くない」「女性は特に危ない」というイメージが強いのだろう。
しかし私は、「場所」と「危険性」が一対一で対応しているわけではないと思っている。「デリーは危険だよ」「xxxxxの地域は安全だよ」などとは、私は回答できない。
ところで、私はお酒を飲むことが好きだ。
日本ではもちろん、海外に行っても同行者がいなければ一人で飲みに出かけるタイプである。
インドでも同じだ。私はインドのバーでたまに一人で飲んでいる。
行きも帰りも一人でUber(配車サービス)を使って移動している。今のところは、それで特に困ったことも嫌な思いをしたこともない。
日本のメディアやSNSには「インド下げ」コンテンツがとても多いように感じる。
YouTubeで「インド」と調べると「インドやばい」「インド最悪です」などと大きく書かれたサムネイルが目に入る。
しかしインドは広い。色々な場所がある。
YouTuberが喧伝するような「やばくて危ない」場所もあるが、「外国人の女性が一人で飲んで問題ない」という状況も一方で存在するのだ。
しかし、一方で私は「xxxxの場所だったら一人飲みしても大丈夫だよ」とすべての日本人に言えるかというと、必ずしもそうではない。
むしろ大多数の人には、わざわざおすすめしないだろう。私にとっては危なくなくても、人によっては「危ない」からだ。
ここで冒頭の話である。
私は、「危ないかどうか」は、大きく以下の3要素で決まるのではないかと考えている。
①行く場所とそこでの行動内容
②自分の見た目(性別/人種/身なり/見た目からわかる信仰宗教など)が周りに与える印象
③自分の危機管理能力の程度(現地に関する知識・言語力・行動に関する判断力・危機回避手段を持っているなど)
危険性の議論がなされる際、「①行く場所とそこでの行動内容」が重視される傾向があるように感じる。
まさに「インドのバーで一人で飲むのは危ない」というような形で語られがちだ。
しかし、それと同じくらい、自分の「②見た目が周りに与える印象」と「③危機管理能力の程度」を踏まえることが大切だと感じる。
例えば、インド現地において、
・インド人でヒンディー語(現地言語)が話せる屈強な見た目の男性
・日本人(=東アジア人風の外見の人)の日本語しか話せない女性
では、周りからの見られ方や扱われ方も変わってきてしまう。
より具体的には、観光地では、「日本人観光客」だと捉えられると一般的に勧誘を受けやすいし、スリなどのリスクも上がるだろう。
同行者がいる場合は、同行者の②③も関係してくる。
これはインド、さらに海外に限った話ではない。
日本は相対的には「安全な国」だが、それでもその人の見た目・能力、そこで取る行動次第で「危ないことが発生する場所」はもちろんある。
「インドはやばい場所だった」というYouTuberの体験は、②③を踏まえない行動の結果である可能性もある。
「場所」と「危険性」を一対一で紐付けて不安になったり慢心したりするのではなく、「自分がその場所においてどのように見られ、どのようなことが起きそうで、その時にどのように振る舞うことができそうか」を理解しておくこと。
そうした視点を持つことが、海外であれ日本であれ、安全に過ごすために不可欠だと感じている。
プロフィール
滝沢頼子(G57)
株式会社hoppin 代表取締役
東京大学卒業後、株式会社ビービットに入社。UXコンサルタントとして大企業を中心に多くの企業への支援を実施。上海オフィスの立ち上げ期メンバー。
その後、上海のデジタルマーケティング会社を経て、東京にてスタートアップへ。
2019年に株式会社hoppinを創業。中国・インドの市場リサーチや視察ツアー、UXコンサルティングなどを行っている。
2022年よりインド在住、現地法人も立ち上げ。