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2008年10月15日

vol. 35 加藤 都(G15)「学生時代に産まれたもの」

 コンベンションネットワークという会社を設立して20年になります。外国語を使ってビジネスをしている関係上、グローバルな感覚を持つ事は必須です。昨今はご存知のようにビジネス界もアジアに視点を転換しており、弊社の営業種目である翻訳部門でも中国語、韓国語などは英語に次いで多くなっています。
 ビジネスの仲間と行く海外視察でも、韓国・シンガポール・中国・マレーシア・ベトナムなどのアジア圏が多くなっています。たとえば世界のマネーが集まる中国などは、私にとっては驚嘆ものでした。古いものにとらわれずどんどん壊して作り変えていく急速な近代化に加え、日本人よりも周りにとらわれず、自己の強い個性を打ち出す精神力が作り出す高層ビルや町並みは、「アッ!」と驚くほどのスケールで、私などはちょっとひるんでしまう程です。もちろん、人口の都市集中、都会と田舎の格差社会(一歩都市から離れると庶民の生活は昔の日本に戻ったような雰囲気です)、そして交通戦争、工場の廃棄物による汚染、公害など問題も多く抱かえています。そしてもうひとつ私が注目した国はチャイナプラスワンの「ベトナム」。こちらは、アジアの発展途上の国らしく田舎ののんびりとした温かさや、古さの中に、爆発しそうな若者のエネルギーを感じさせてくれました。ご承知のように、ベトナム戦争で国を動かして行く中心的存在であるべき中堅、ベテランの男性(指導者たち)の殆どを失い、その人口比率はこれからこの国を担っていかなければならない若者、次いで老人、そして女性となっています。親日家も多く、国民性も日本人に似て勤勉で、これからぐんぐん伸びて行くぞという若さと勢いを感じさせてくれる国です。
 アジア諸国はそのほどんどが東洋人の顔を持ち、日本と同じ箸を使う国もあり、その為か一層親しみもわき、これからが面白いと思わせてくれる発展途上の国が多く、これからも興味津津です。
 そしてそれとは逆に友人に誘われて、ヨーロッパの古い歴史を誇るイタリアに今年の2月に行って来ました。「ローマの休日」を見て憧れ、一度は行ってみたかった国です。メンバーは、京都の某一流ホテルの総支配人と国際室長の友人、チャーミングな部下の若い女性、そして私の主人でした。男2名、女3名。ネットワークもあり、外国語の堪能な方たちに囲まれ、飛行機、ホテルの手配から、現地のもろもろ全てお任せで、ローマ・フィレンツェ・トスカーナのワイナリー・ピサ・ミラノとゆったりとした最高に楽な旅でした。
 初日は、ローマ。夜遅くHotel d’lnghilterra(ディンギルテッラ)に着きました。スペイン広場近くの小さいながらもおしゃれなホテルです。まずはシェリー酒を一杯。今回の旅の主な目的は京都のホテルにイタリアンレストランを開くための視察旅行。酒びたりの旅の予感がしました。実際ものすごい量のワインを試飲?、お店の売り上げに貢献してきました。もちろん、観光にも貪欲でした。中でも、バチカンのピエタ像は、その美しさを湛えた悲しみに、ほんとうに胸が熱くなりました。そしてミケランジェロの計り知れない才能にも驚かされました。フィレンツェやミラノのドゥオーモ(ドームの天井を持つ寺院で内部はフレスコ画などで装飾されています)
でも、あの絵画、あの彫刻というようにキリスト教文化のすばらしさと偉大さに肌で触れることができ、感慨を新たにしました。学生時代には、クリスチャンでもない自分にとって、宗教の時間はどのような意味を持つのか考えも及びませんでしたが、こうしてイタリアに来て、歴史ある教会を見て周り、その時代の文化に直接触れてみると、何の違和感もなく、いやそれどころか懐かしささえ覚え、感動し、しみじみ心にしみてくる物がありました。中・高・短と学生時代に聖書の勉強をし、キリスト教文化を知ったおかげを今になって感じることができ、心から感謝しています。話は飛びますが、もうすぐ60歳、自分でもびっくりです。生きてきた道のりを振り返って見られるほどに長くなってしまいました。今までは振り返りもせず、ただその時々を必死で生きてきたには違いないのですがそこに一つの繋がりがあることに気づかされました。ここにも私の人生の「ルーツ」がある。無駄なことなどなにもない。
イタリアに来てよかったとひとりでニッコリとしてしまいました。
 さて、フィレンツェ。まるでルネッサンス時代に飛び込んだような感じ。ホテルはHelvetia & Bristol。お勧めのホテルでした。天井が高くアンティークな調度品も素晴らしく、料理もおいしいホスピタリティーあふれたいいホテルでした。そして、トスカーナの田園風景、ワイナリー。ミラノの歴史的建造物、ダビンチの「最後の晩餐」など話がつきません。
 イタリアは、たくさんの観光客が溢れ、どの都市に行ってもビックリさせられるドゥオーモの巨大さとキリスト教の壮大さと文化への情熱をひしひしと感じました。
 3月29日、G15の同窓会があり、卒業40周年を記念して、ミサをおこなっていただきました。祝福のパンを生れてはじめて手にしました。イタリア詣でに行ったご褒美かしら、いい思い出になった同窓会でした。南山という学び舎で教えていただいたことをこれからも活かしながら、もうしばらく前を向いて歩いていこう、人生のロープを延ばしていこうと考えている昨今です。          加藤 都
 
 
加藤 都(G15)
南山中学、高校を卒業、南山短期大学1期生。
大学卒業後、テレビやラジオの司会、深夜放送のパーソナリティー、レポーターとして番組に多数出演後、1988年(有)コンベンションネットワーク設立。国際会議の運営、司会、通訳・翻訳、外国語のナレーター・教師などの派遣事業を行っている。
新規事業として、10年前にシニア向けにオーストラリアへのロングステイを企画。
今年から研修事業の一つとして、留学生にビジネス接遇マナーを教えている。

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