vol. 43 堀江 陽平(S18)「出張」の楽しみ – Nanzan Tokiwakai Web
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2009年8月18日

vol. 43 堀江 陽平(S18)「出張」の楽しみ

仕事柄、出張が多い。北陸、長野、東京・・多くはないが、北海道や九州、沖縄なども行ったりする機会がある。
神経質ではなくアバウトな気質であるゆえ、場所が変わって寝られない・・枕が変わると寝られない輩も多いようだ・・ことはないし、悪食ゆえ、どんなものでも厭わず食べられる。3時間ほどの車中なら、シンドくならずに耐えられる。飛行機も大好きだ。
ただし、場所の好き嫌いは多少あって、出来れば「食べ物」の美味しいところが良い。
日帰りなら問題ないが、1泊、2泊であると外食が続く。特に夜。土地々にそれぞれ名産物だとか、自宅でなかなかお目にかかれないものもある。出張で好きなところは、北陸。もともと、我家のルーツは「越中富山」なので、ガキの頃から北陸の味で育った。金沢はご存知の通り「加賀100万石」の御城下、北陸の小京都とも言われ、料理なども加賀料理と称され、京料理にも匹敵する雅やかな料理である。
まず、食材が良い。特に「海鮮物」、魚介類が豊富で、特に有名なのは越前ガニとか氷見の寒ブリなどは、時期になれば恐ろしく高価な値で、全国的に取引される。富山湾などは、3000メートル級の立山連峰を背に、海溝並みの深さの海のため、全国的にも珍しい魚にお目にかかれる。こういう地形の場所には変わった魚介類が生息するし、食べて滅法美味しいものもある。ただし、現地でしか食べられないものも多い。今は、交通網の発達で、獲れた物が翌朝には市場に並ぶことも可能だが、やはり獲れ獲れのものをその場で食べるのがやはり間違いがない。
「ホタルイカ」などはその最たるもので、例年3月から5月にかけてが時期。獲れたてを生きたまま食べる「踊り食い」なども美味しいが、獲れたのをすぐ「釜揚げ」にして、酢味噌で食べるのが一番美味しいと思う。茹でると旨みの成分アミノ酸が出て、ホタルイカならではの匂いと味が楽しめる。踊り食いは、生きてピンピンしたヤツが小さな壷の中で泳いでいるのを、箸でつまみ生姜醤油で食べる。勿論生きているから、釜揚げとは違い、身がシャキシャキとして食感がすごい。口の中でバタバタ暴れる。多少ゲテっぽいかも知れない。注意しなければならないのは、箸でつまむ時に、しっかりと足と胴体のところをギュッとつままないとたちまち「ビュッ」と水を吐く。顔や服に水をかけられ、ビックリ仰天することもままある。ただし、生きたホタルイカは食感だけで、独特の旨みに欠けるようだ。死んだやつは、名古屋の寿司屋でもカウンターに並んでいて、刺身で食べることが出来る。死んだやつのほうが生よりもホタルイカの味が出る。やはりアミノ酸なのだろう。
「ゲンゲ」なんてけったいな魚もいる。これは土地でないと食べられないものだろう。して、その姿なるや、全身ネバネバの粘膜で覆われ、体長15センチから20センチくらいのドジョウをでかくした様な風体、見た目は良くない。深海魚であるらしい。とにかくドロドロの魚である。ゲンゲ、謂れは「幻魚・ゲンギョ」ともいわれ、また漁師さんの網に掛かると網がドロドロになって、後始末が大変なので「下の下・ゲノゲ」といわれた由来もあるらしいが、定かではない。淡白な白身で、ネバネバのまま汁にしたり、天ぷらなどにするようだ。僕はあまり好まない。ただし、ネバネバはコラーゲンで、女性などには最近人気の食材だそうだ。
出張の話から、食べ物の話ばかりになって来たが、「食」も文化の一つ大事なものである。その点では長野という国は、四方八方が山の国であるため、食べ物が地味である。信州・・というと、すぐさま頭に過るのは「蕎麦」、「山菜」である。これも採れたての蕎麦の実を挽き、打って食べる「蕎麦」は滅法美味い。蕎麦の花っていうのは可憐な花で、開田高原あたりの蕎麦畑で一面に咲いている「蕎麦の花」の写真など見た向きも多いと思う。写真愛好家にはものすごい人気である。朝もやに煙る蕎麦の花は確かに日本的で美しいと思う。それでも、「美」よりも「食」を好む小生には長野出張は苦手である。
 
 
堀江 陽平さん(S18)プロフィール
 株式会社ワキタ商会 専務
 趣味 スキー 料理 (フランス料理から中国料理、日本料理まで なんでも)

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