vol. 85 藤原 慶子(G13)「徒然に思うこと」 – Nanzan Tokiwakai Web
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2013年11月25日

vol. 85 藤原 慶子(G13)「徒然に思うこと」

この頃65歳を過ぎたあたりから、人生ってなんだろう?と自問する日々です。

昔、陶淵明が「さよならだけが人生。」と言っていましたが・・・そうかもねと感じ
ます。
とはいえ、人生という道のりで、何してもいいのかしら?とか、不道徳なことはしては
いけませんという自分の内なる声が聞こえたりもします。不惑は40歳なのに、できの
悪い私などは、今さらであります。このところ、近親者があちらの世界に旅立ったり
するせいか、余計に敏感に考えさせられるのでしょう。

思い起こせば、もうじき40歳になろうという時、夫の仕事で海外に駐在し、子供が
小さかったことで、がむしゃらでした。言葉の習得や文化の壁の理解、その他
もろもろのことで、身体がさびて行くのが分かるほどのストレスの積み重なりでした。
とはいえ、英語も北京語も何とか困らない程度に使いこなせるようにはなりましたし、
経済的にも余裕ができ、交友関係も大きく広がっていきました。俗に言うインター
ナショナルなグローバルな視点を持つ女性にと変貌していきました。皺の数だけ幸せな
女になっていけたのだと思います。

さらに約二十年の駐在で、外から日本を見るにつけ、日本という国は、おかしな国で
あるなという確信に近い気付きの時間も過ごしてきました。日本の教育制度の批判に
なりますが、戦後の教育は、大切なものは何かの教育がきちんとされてきていません。
まさに今クールジャパンと言われているたぐいの物やことへの取り組みの無さには腹が
立ちます。こんなことからも日本の伝統文化の消滅に近い現象が起きつつあると思って
おります。
じゃあ、何をしたらいいのか?と自問して、先ず自分にできることから始めようと
決意しました。

戦後、日本にはびこりつつある欧米崇拝主義など、常識になりつつあることを打ち破ら
なければと、スタートしたのが「食育」です。このことで野菜生産者の方々に会い有機
農法など教えて頂きながら、さらに身の周りの農業従事者を巻き込みながら、健康の
ための食材をリサーチして、身体に良いものとは何でしょうと迷いながらも会を立ち
上げました。それが、私が会長を務めます?愛知食育倶楽部″です。私たちは在来種の
保護もしております。

この会は、東京の服部栄養学園の服部会長にもお世話いただき、先週はフランスから
有名シェフを何人か招き、日本からは日本料理の神田さん、フランス料理の三国さんら
のご賛同と参加も得て「味覚の一週間」のお手伝いをしました。「味覚の一週間」は
パリからスタートした食育運動で、フランスでは23年の歴史があり、日本でも始まって
3年目に今年はなります。その数年前に、日本でも、服部先生が厚生労働省とともに
食育運動をスタートさせておりました。日本の当たり前の”うまみ”はその時、
フランスで命名された味の一つとなり、昆布、かつおだし、干しシイタケなど昔から
日本の料理の基本の味つけについて勉強する会となりました。今年は180校を超える
日本の各地の小学校の協力のもと、味覚の育つ年齢の小学生に教えに行くことを、彼ら
シェフにお願いして、それぞれ地方の学校に出向いて行って頂き、多くの小学生に
教えるための授業を行い、その大切な時間の中で、日本料理という和食の味の
素晴らしさを、子供たちに伝えるためのイベントをしたのでした。

日本は欧米化した食生活から来る味覚の揺らぎを、何とか今ストップしなければなり
ません。このことは医療費の軽減にもなることですから。簡単に手に入る食事の
あり方が、健康上に問題があることとなり、家族の関わり方にも影響があるという
ことに気付かねばなりません。少なくとも食事を母親が作り、栄養価を考えて子供に
食べさせるということに心配りをしなくてはなりません。親が日本人として持っている
味覚をきちんと教えなくてはいけないのです。出来れば家族全員そろって食卓を囲む
という日が何日かあるというように努力しなければいけません。そのことが日本人
らしさを繋いでいくことになるのです。
作り手に感謝して、外国語には訳せない、日本語にしかない「頂きます!」という
感謝の心を育てて行くのです。そんなこんなを思いながら、年をとったなと感じている
今日この頃であります。

藤原慶子 G13 プロフィール
 愛知食育倶楽部 会長
 日台友愛会 執行役員
 東京台湾の会 理事
 インターフェロン・ハーブ研究所 理事
 世田谷法人会 厚生委員
 愛知県観光ふるさと大使
 シニアグランプリ 理事

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