vol. 88 田中 章(S21)「南山と私」 – Nanzan Tokiwakai Web
  1. HOME >
  2. メルマガコラム

メルマガコラムMail Magazine Column

過去に配信した「常盤会WEBメルマガ」の記事を掲載しています。

2014年3月24日

vol. 88 田中 章(S21)「南山と私」

 先ず初めに、この原稿を依頼されて以来、南山への感謝は深くありながら数か月が
経ってしまったことをお詫びしたい。

 その南山への思いを辿ると中学3年の頃になるだろうか。当時、南山中学で英語を
担当されていた故・黒川明雄先生が受験を勧めてくれたのがAFSという交換留学制度
だった。南山高校進学後、学内選考、地区選考と進み、最後は東京の文部省での選考
試験を経て留学が決定した。これは南山が英語教育に力を入れていたことと、ラ・
フォージュ神父、リーマー神父といったネイティブの方々がいらしたお蔭であることは
言うまでもないだろう。

 1968~69年、米国コロラド州プエブロでホームステイをしながら日本人生徒皆無の
高校に通う異文化体験は、その後の私の人生の進路に大きく影響を与えることと
なった。帰国後は日本で高校三年のカリキュラムを経ることなく学期途中の9月から
そのまま南山大学に進み、今度は逆にそのAFSの東海支部で日本に留学してくる
留学生の面倒を見ることとなった。その時、南山高校に留学してきたのが、現在
「ワールド ビジネス サテライト」等でも活躍中の有数のエコノミストである
ロバート・フェルドマン氏(愛称ロビー君)だった。彼は我が家にもよく遊びに来て、
共に好きな洋楽を聴いたりしたものだったが、彼との親交は現在まで続き、一昨年、
南山大学同窓会60周年記念東京支部総会の際には彼に記念講演を依頼した。経済問題
のみならず南山での体験、恩師との触れ合いについてもユーモアを交え流暢な日本語で
懐かしみつつ語ってくれたその講演は、大変好評を博し、彼の変わらぬ友情に感謝
している。

 さて、就職するに当たり、音楽に対する思いと南山での学びを活かせる仕事は何かと
考えた時、真っ先に頭に浮かんだのが、当時ソニーが資本自由化第一号の合弁会社
として設立したばかりのCBS・ソニー。最終面接者はその後ソニーの社長となった
故・大賀典雄氏で、面接は互いの米国での思い出話となり雑談のような和やかなもので
あった。その後の37年間の会社員生活についてここで詳しく触れることは出来ないが、
その約半分は海外の音楽を日本に紹介、後半分は香港駐在時代を含め、日本の音楽を
海外にマーケティングすることであった。イギリスCBSの担当者が偶然にも南山大学に
留学経験があったり、日本のアーティストを取材してくれたタイのジャーナリストも
南山大学留学生だったことも嬉しい驚きであった。

 会社員時代の忘れ得ぬ思い出は多々あるが、最も印象に残っているのはフリオ
・イグレシアス、マイケル・ジャクソンといった世界の一流アーティストたちとの
出会いだろう。中でもとりわけ、フリオには、彼のマイアミの邸宅にも我が家の妻・娘
と共に度々招待され、彼の家に宿泊し夏の休暇の幾日かを過ごす等、家族ぐるみで大変
良くしてくれた。彼等との親交により、彼等の人々への実に温かな心配りと愛情を実感
することとなったのだが、その話は別の機会に譲ろう。

 斯くして国際部門に於いて、海外出張で飛び廻る中、世界中の国々のアーティストや
スタッフたちと信頼関係に基づいた交流が出来たのも南山の教育のお陰であり、充実
した社会人生活を送ることが出来た幸せに感謝している。

田中章 S21 プロフィール

1950年名古屋生まれ
南山高校在学中に文部省派遣AFS奨学生で米国に留学
南山大学を経て、1973年CBS・ソニー(現SME)入社
2010年迄日本レコード協会海外市場拡大委員会副委員長を兼任
現在、音楽関連数社顧問
南山大学同窓会東京支部長

メルマガコラム一覧